「K2 Pictures」が日本発の映画製作ファンド設立へ!岩井俊二、是枝裕和ら映画製作を進めるクリエイター陣が発表
映画、映像を中心とした事業を展開する株式会社K2 Picturesが、日本発の映画製作ファンドを立ち上げることが発表。あわせて、世界三大映画祭の一つ、カンヌ国際映画祭が開催されるフランスのカンヌで記者会見が行われることが決定した。 【画像を見る】“日本映画の新しい生態系を作る”ことを目標に設立される日本発の映画製作ファンド「K2P Film Fund I」 “日本映画の新しい生態系をつくる”ことを目標に掲げ、K2 Picturesは日本発の映画製作ファンド「K2P Film Fund I(ケーツーピー フィルム ファンド ファースト)」を立ち上げる。本ファンドの映画製作では、新たな国内外投資家の日本映画産業への参入、クリエイターへの利益還元を推し進めていく。その生態が長らく変わっていない状況にある、日本の映画製作。その一つに海外法人や国内においても新しい投資家が参入しにくい現状がある。そこで、現状の日本の映画製作における新たな選択肢として、日本コンテンツに興味がありながら接点を持てなかった国内外の会社が参加しやすいように、海外からの投資を想定した法律、会計基準をもつ本ファンドが設立された。またクリエイターや制作に関わるスタッフに対する利益還元の仕組みを取り入れ、多くの才能が映画産業に夢を持ち続けられる体制を整えていく。 K2 Picturesが思い描く映画制作の形やビジョンを形にした、ファンド組成について詳細を発表をすべく、世界中の映画業界の関係者が多く集まる、カンヌ国際映画祭開催中のフランス、カンヌの場で記者会見が実施される。K2 Pictures代表取締役CEOである紀伊宗之、そしてともに作品製作をしていくクリエイターの三池崇史、西川美和も登壇。ほかにも、監督デビューをする、新人監督の発表も会見内で行われる予定だ。 あわせてK2 Picturesが目指すこれからのビジョンに賛同し、ともに映画製作を進めていく、監督、アニメーション会社が発表された。日本のみならず、特にアジアで高い人気を誇り、欧米や中国での映画製作の場を広げる岩井俊二、『万引き家族』(18)が第71回カンヌ国際映画祭のパルムドールに輝き、第77回カンヌ国際映画祭では審査員を務める是枝裕和、毎年のように新作を発表し、最新作となる『碁盤斬り』(5月17日公開)が先日ウディネ・ファーイースト映画祭で批評家により選出されるブラック・ドラゴン賞を受賞した白石和彌、監督2作目『ゆれる』(06)が第59回カンヌ国際映画祭の監督週間で正式出品され、その後もオリジナル作品を中心に精力的に作品制作を続けている西川、「呪術廻戦」、「チェンソーマン」など海外でも人気の高いアニメーション制作を行う株式会社MAPPA、新作が常に海外からも注目され、カンヌ国際映画祭をはじめ様々な映画祭に幾度となく招待されている三池など、日本はもちろん、海外でも活躍の場を広げ続けるクリエイターとともに、世界市場を目指した映画製作を進めていく。 ■<コメント> ●岩井俊二 「紀伊宗之のやりたいことなら絶対に応援したい。それがこのプロジェクトに参加した僕の純粋なる動機だ。プロデューサーとしての彼は無類に頼もしい。彼にかかったら開かない鍵なんかないかのようだ。彼とする仕事は無類に楽しい。それは彼に人を信じる力があるからだと思う。いつの時代も破天荒な発明家が時代を塗り替えて行く。今回、彼は僕らのために新しい乗り物を作ってくれた。K2 Pictures。それは自動車のようでもあり、船のようでもある。飛行機にも潜水艦にもなり得る。山に登ればそれはピッケルとアイゼンに変身してくれる。そんな変幻自在、臨機応変なしなやかさがK2 Picturesの持ち味になることだろう。そんなチームだったらフィルムメーカーだって本気で頑張れる。僕も思いつく限りのアイディアを投じてこの恩に報いたい。どんな冒険が僕らを待ち受けているだろう。10年後、どんなチームに成長しているだろう。とにかくいまからなにもかもが待ち遠しくて仕方がない」 ●是枝裕和 「30年映画を作って来て感じていた既成の作り方への疑問や、違和感をどうしたら改善出来るか模索している途上で、紀伊さんたちの取り組みに出会いました。このチャレンジが成功して、映画界に良い風が吹き、新しい才能にチャンスが開かれる。そんな未来を実現しようとしている心意気に共感して、仲間に加えて頂きました。共闘を楽しみにしています」 ●西川美和 「日本の映画の世界でキャリアを重ねながら抱くようになったのは、なぜか自信や希望よりも行き止まりのロープにつんのめるような感覚でした。これ以上映画を撮るのはなんとなく怖いような気がしていました。それで『映画』から背を向けるように、従来の映画会社や出資者が決して歓迎しないような話を書いていたんです。すると紀伊さんという人が立ち上げたK2 Picturesが新しい投資で資金繰りしてそれを映画にする、と言ってくれた。本気だろうか、と思いました。しかも若い作り手の独創的な企画にもチャンスの扉を開いているという。安全牌で固める発想ではなく、新しい人やきわどいものに必要十分な資金と環境で機会を作ることを目指すK2 Picturesの挑戦には乗ってみる価値があると思いました。ある意味、K2 Picturesのファンドや新しい配給の仕組みは、危険な冒険にも思えます。実際、一筋縄ではいかないこともあるでしょう。でもそれが映画作りだし、どうせ映画を作るなら私は冒険をするチームと組みたい。それがこれから先に日本で映画を作っていく人たちの、新しい活路になっていく可能性があるならば尚更です」 ●MAPPA 「『K2 Picturesの挑戦を応援したい』という想いで、このプロジェクトに参加させていただきました。私たちも、アニメーションスタジオとしてなにができるのかを精一杯考えながら、映画製作のパートナーとして力を尽くしたいと考えております」 ●三池崇史 「『K2 Pictures』。そして紀伊という怪しげな男について 紀伊=誠実な破壊者。 私はこう見ている。とてもパワフルだ。そして、そのエネルギーの源は、優しさだと思っている。 『もっと面白い映画を創って、もっと幸せになろうよ』 紀伊さんの笑顔に、そんなシンプルなメッセージを感じる。 だから私は『K2 Pictures』を信じている」 ●上住敬一(ビズアドバイザーズ株式会社代表取締役) 「K2 Picturesが志す新しい映画生態系のビジョンの実現は、世界から日本映画への投資意欲が強まっているいまだからこそ、日本の映画業界にとっても実現させなければならない取組であると私たちビズアドバイザーズも考えております。ビズアドバイザーズはエンタテインメント業界に特化した会計事務所として過去20年間日米の映画の資金調達をサポートしてきました。私どもは代表の紀伊さんとともに、1チームでファンドの仕組み作りからガバナンスの構築まで携わっています。ファンド組成後の会計処理やディスクロージャーにも関与することで、バックオフィスから国内外の投資家の皆様に安心して頂けるようサポートして参ります」 文/サンクレイオ翼