ドラマファン待望の『海のはじまり』がスタート、目が離せない目黒蓮の「選択」
Snow Manの目黒蓮が主演を務めるTVドラマ『海のはじまり』(フジテレビ系)が、7月1日より遂にスタートした。この作品には、2022年に放送されて大きな話題を呼んだ『silent』(フジテレビ系)の主要スタッフが再び結集。“親子の愛”をテーマに、書き下ろしの完全オリジナル・ストーリーが展開する。(以下、ドラマのネタバレを含みます) 【関連画像】「企画書は1枚目が大事」村瀬Pが『silent』企画書1枚目に使った雪原の写真から生まれた台本表紙ビジュアル 主人公は、印刷会社に勤務している月岡夏(目黒蓮)。年上の恋人・百瀬弥生(有村架純)と、慎ましくも幸せな日々を過ごしている。そんなある日、彼のもとに一本の電話が。それは、大学時代に交際していた南雲水季(古川琴音)が亡くなったという知らせだった。 彼女と過ごした日々を思い返しながら、葬儀に参列する夏。そこで彼は、海(泉谷星奈)という少女に出会う。水季に子どもがいたことに驚きを隠しきれない夏は、さらに水季の母・朱音(大竹しのぶ)から衝撃の事実を知らされる。海の父親は、他ならぬ自分だったのだ…。 このドラマには、モノローグやナレーションがない。そのぶん、登場人物の感情がじっくりと、丁寧に、細やかに描かれている。ながら見なんて、もってのほか!っていうか無理!前述の『silent』といい、前クールの月10ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(フジテレビ系)といい、近年静謐なドラマ作品が増えてきている印象があるが、『海のはじまり』もその系譜に連なる作品と言っていいだろう。 脚本を手がけている生方美久は、「視聴者のみなさんにとって、考える余白のある作品にしたいと思いました」とインタビューで語っている。視聴者は、口下手で思ったことを言葉にすることができない夏の心情を、微細な表情の変化やセリフのニュアンスから感じ取るしかない。むしろ、沈黙の芝居から想いを嗅ぎとっていく。我々自身が、物語としっかり対峙することが求められるのだ。
「選択」することを避けてきた主人公
生方美久はドラマのキーワードとして、「選択」を挙げている。そして主人公の夏は、自分の意思で「選択」することを避けてきたキャラクターだ。何を聞かれても、どっちつかずの返事をするばかり。恋人の弥生には「“うん“と“ううん”の間みたいな返事、やめれる?」と注意されてしまうほど。 一方水季は、自分の意思ではっきり「選択」をするキャラクター。決して迎合することなく、我が道を行く。そんな彼女だからこそ、流されやすい性格の夏のことを、「人に合わせられるなんてすごい!」と肯定的に捉え、好意を持つようになっていく。夏は優柔不断なダメ男なのではなく、誰よりもまず相手のことを第一に考える心優しき人物なのだ。 そんな夏が、自分が父親であることを知る。「夏くん、海のパパでしょ?夏くんのパパはいつ始まるの?」という海の問いに、彼ははっきりと答えられないまま、第1話は終幕を迎えた。今後も、彼の「選択」を見守っていきたい。
竹島 ルイ