五反田にITベンチャー集結 “五反田バレー”品川区の創業支援とは?
ベンチャー企業にちょうどいい広さ・賃料
IT企業が集積する街といえば、同じ東京の渋谷が有名です。渋谷はIT企業が集まる世界都市・シリコンバレーになぞらえ、(渋い=BITTER)と(谷=VALLEY)をもじってビットバレーと名乗るようになりました。 IT業界は、ノートパソコン1台あればビジネスが可能です。大きなオフィスは必要ありません。創業したばかりのベンチャーにとって、オフィスの賃料は経営を圧迫する負の材料でもあります。そのため、ITベンチャーは賃料の高い渋谷駅界隈を避ける傾向が強く、そこから五反田が注目されるようになりました。IT企業が集まる渋谷にならい、五反田も“五反田バレー”という名称でITベンチャーに積極的にPRを始めています。 「五反田駅は渋谷駅から電車で数分と近く、大企業が多く集積しなかったことが幸いしました。今でも駅周辺に雑居ビルがたくさんありますが、これらの雑居ビルはワンフロアの面積がそれほど大きくありません。そのため、創業して間もないITベンチャーには適した広さ・賃料なのです。こうした環境から注目されるようになり、五反田駅界隈にITベンチャーが増えたのです」(同) 当初は自然発生的に増えていった五反田のITベンチャーですが、品川区もこの動きを後押しするようになります。五反田駅を拠点にしているITベンチャーが集まり、昨年に「一般社団法人 五反田バレー」が発足。品川区も連携して、五反田駅界隈へのITベンチャーの活性化や誘致に取り組んでいます。しかし、ITベンチャーで活性化する五反田駅界隈ですが、泣き所がないわけではありません。 「ベンチャー企業の最大の弱点は、なんと言っても世間的な知名度が低いことです。知名度が低いため、新たなエンジニアを採用するのにとても苦労してしまうのです。また、1社の採用人数は多くありませんから、採用の説明会を大々的に開くこともできません。そのため、大学や専門学校の新卒予定者がベンチャー企業を知る機会がなく、新たなエンジニアの採用を難しくしています」(同)