教え子、富岡西の主力選手に 「ワンダーボーイズ」コーチ・田上宏幸さん(38) /徳島
<センバツ2019> ◇「硬式」指導の恩師もエール 第91回選抜高校野球大会に出場する富岡西(阿南市)の選手の多くは、硬式野球チーム「阿南ワンダーボーイズ」(同)出身だ。同チームは県内の強豪校に選手を輩出しているが、卒業生が地元阿南の高校で甲子園の土を踏んだことはなかった。コーチとして選手を見守り続ける田上宏幸さん(38)は、「試合終了まで全力で戦い、甲子園を楽しんでほしい」と激励する。 ワンダーボーイズは、中学軟式野球部を引退した選手が、高校で硬式野球に速やかに移行できるよう支援する。硬式野球の道具を使ったキャッチボールなどで基礎練習を重ね、正しいフォームや体の使い方を指導している。現在の選手数は26人。卒業生が徳島商や鳴門渦潮などに進学し、甲子園に出場したケースはあった。 田上さんは高校時代、新野(阿南市)で二塁手として活躍。1996年の夏の甲子園に出場した際は1年生で、夢の舞台で輝く先輩たちをスタンドから憧れの目で見つめていた。卒業後も就職先で野球を続け、先輩から誘われ、28歳からコーチを務めている。 富岡西の選手は坂本賢哉主将(2年)をはじめ、主力メンバーの多くが同チーム出身。小川慧一郎投手(1年)は「高校で必要とされる技術を教えてもらい、市内の強い選手が集まって刺激になった」。田上さんについては「パワーのある方で、分からないことは分かるまで教えてくれた」と振り返る。 田上さんは当時の選手たちについて「野球に飢えて一生懸命な選手が多く、教える側も熱が入った」。印象深い選手に浮橋幸太投手(2年)などを挙げ、「チームを大事にし、味方がエラーしても許容できる優しさがあった」と話す。粟田翔瑛捕手(2年)は「当時から浮橋をエースに甲子園に行くと宣言していました」と笑顔で語った。 センバツの試合は、甲子園で直接、声援を送るつもりだ。高校時代と同じスタンドからだが、見える景色は全く異なる。「この子たちに甲子園に連れて行ってもらうなんて喜びもひとしお。なかなか行けない甲子園で、自分たちの力を試してほしい」と目を細めた。【岩本桜】