『グレイトギフト』反町隆史の熱い叫びが飛び出してようやくスッキリの最終話…これぞ『GTO』っぽい真骨頂
反町隆史演じる主人公が、ずっとオロオロして悪役たちに翻弄され続けて、フラストレーションが溜まりっぱなしだったサバイバル医療ミステリー『グレイトギフト』(テレビ朝日系)。 3月14日(木)に最終話となる第9話が放送されたが、ようやく反町の真骨頂が見られて、なんとか溜飲が下がった。 ※本稿は『グレイトギフト』最終話の内容に触れていますが、真犯人や黒幕の正体は伏せています ■啖呵を切る主人公…こんな反町が観たかった! 反町が演じる主人公は、大学病院に勤めるうだつの上がらない病理医・藤巻達臣。コミュ力低めの寡黙なタイプで、優柔不断なため病院内では周囲の職員から見下されがちというキャラクター。 熱くてヤンチャな役どころや、クールでスマートな役どころを演じて来た反町の従来のイメージからすると、意外性のある主人公像と言える。 物語は、病院で元総理大臣が不審な死を遂げ、その遺体を解剖した藤巻が完全犯罪を可能にする殺人球菌「ギフト」を発見したところから始まる。 「ギフト」は体内に入った人物を死に至らしめ、しばらくすると消滅するという性質があり、殺人の証拠が残らないため死因は急性心不全と診断されてしまう。そんな殺人球菌をめぐって起こる連続殺人や権力争いに、藤巻が巻き込まれていくのだ。 藤巻の最大の敵として立ちはだかっていたのは、大学病院の理事長に出世した白鳥稔(佐々木蔵之介)。 藤巻は序盤から中盤までずっと白鳥一派に利用されたりハメられたりの惨敗続きで、ほとんどヒロイックな活躍ができていなかった。第6話は「逆襲編」と銘打たれていたため、ようやく白鳥に反撃してギャフンと言わせるかと思いきや、けっきょくこの回も騙されて茫然とする滑稽な姿をさらしていた。 そして第8話は、終盤で「ギフト」を裏で操っていた謎の真犯人が白鳥にだけ正体を明かし、2人が手を組むという波乱の展開で終わっており、迎えた最終話。 これまでは役者・反町隆史の持ち味を封印しており、けっこうなフラストレーションが溜まってしまったが、ようやくスカッとさせてくれた。 最終話の終盤で、とうとう白鳥を追い詰めて観念させた藤巻たち。 だが、白鳥は心臓疾患を抱える少女・琴葉の手術が控えていたため、藤巻がこう告げるのだ。 「琴葉さんを助けてください。白鳥理事長は誰よりも患者さんを大事にする医者だったはずです」 このときの藤巻はまだふだんどおり。だがこの言葉に白鳥が沈黙していると、みるみると眼光が鋭くなっていき、こう啖呵を切るのだ。 「あんた医者だろ! 患者を救ってみせろ!!」 そう、こんな反町が観たかった! ■『GTOリバイバル』にいい形でバトンを渡せた 荒々しくも熱い咆哮は、彼の代表作である『GTO』(1998年/フジテレビ系)を彷彿させる。“反町節” とも言える熱量の高いセリフを聞けて、これまで溜まっていた鬱憤もスッキリ解消。 ただ裏を返せば、反町にはやっぱりこういう熱く強気なキャラが似合っており、『グレイトギフト』の序盤から中盤で見せていたオロオロした気弱なキャラは、似合わないと再確認したラストだったとも言える。 本作は数字的に苦戦していた。 世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は、第1話9.8%と好スタートを切っていたのだが、第2話で7.6%と急落。それ以降は第3話6.9%、第4話6.8%、第5話6.8%、第6話6.0%、第7話6.8%、第8話7.2%、最終話8.9%と推移。 TVerでの人気の指標となるお気に入り登録数も53.9万(3月15日現在)。このデータは100万超えがひとつの指標となっており、話題作はたいてい100万オーバーなので、見逃し配信で人気というわけでもない。 最終話残り1分で、先述した真犯人とはまた別のキャラが本当の黒幕だったと判明するシーンがあったため、続編の匂わせとも受け取れたが、ヒットと呼べる数字を残せていないので、おそらく続編制作はないだろう。 だが、しかし。視聴率をよく見てみると、第6話までは右肩下がりし続けていたのだが、その後は一度も下がることなく最終話まで右肩上がりでV字回復。視聴率が乱高下せずにこんなきれいにV字を描くのはなかなかめずらしい。 ストーリーと照らし合わせると、ちょうど視聴率の底をついた第6話から主人公が腹をくくって徹底抗戦し始めており、徐々に熱い反町が観られるようになってから数字が上がってきたことがわかる。 やはり視聴者が期待していたのは、熱血な反町隆史だったという証明になったかもしれない。 ――さて、そんな反町だが、“グレイト・ティーチャー・オニヅカ” が26年ぶりに帰って来ることで話題を集めている。『GTO』が4月1日(月)に『GTOリバイバル』(フジテレビ系)としてスペシャルドラマで復活するのだ。 “グレイト” つながりだった『グレイトギフト』も後半は調子を上げてきていたので、『GTOリバイバル』にいい形でバトンを渡せたのではないか。“グレイト・ティーチャー・オニヅカ” の活躍も楽しみで仕方がない。 ●堺屋大地 恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中
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