吉野修一郎、スティーブンソンに敗れて以来の再起戦の前日計量クリア 右肘に不安抱え「僕にとってもチャレンジマッチ」
プロボクシングの62・5キロ契約8回戦(東京・後楽園ホール)の前日計量が16日、東京・文京区の日本ボクシングコミッション本部事務局で行われた。元日本、東洋太平洋、WBOアジア・パシフィック・ライト級王者の吉野修一郎(32)=三迫=はリミットより200グラム軽い62・3キロ、フィリピン同級3位のジュレス・ビクトリアーノ(26)=フィリピン=は62・2キロでともに1回でパスした。 吉野は昨年4月に米ニュージャージー州ニューアークで、WBC世界ライト級挑戦者決定戦に臨み、シャクル・スティーブンソン(米国)に6回TKOで敗れて以来の試合。「コンディションは良くもなく悪くもなくって感じ。試合前、いつもはそんな感じではないけど、今回はやっぱり久しぶりっていうのもある」と語った。 昨年7月後半に2021年から痛みを抱えていた右肘の変形性関節炎などの内視鏡手術を受け、約3カ月間は完全休養。10月後半にジムワークを再開したが、右肘の痛みは今もあるという。「パンチを打ったら痛いし、ガードをしても痛いので、さほど変わっていない」と右肘の痛みと付き合いながらの再起となる。これ以上のブランクを空けたくなかったため、この状態でも再起戦を決めた。「僕にとってもチャレンジマッチ。復帰戦なんで。できる限りの練習はした」と不安を抱えながらリングに上がる。 現WBC世界同級王者のスティーブンソンとの試合映像はたまに見返しているといい、「足りない部分は(スティーブンソンと)やってみて分かった」と世界トップとの差を痛感。ジムワークを再開してからは元世界4階級制覇王者のローマン・ゴンサレス(36)=ニカラグア=のような手数の多い、より攻撃的なスタイルへの変更に努めてきた。「攻撃を止めない。止めてもカウンターを狙っていてつなぎを止めない。プレッシャーをかけつつカウンターを狙っているし、圧をかける。相手に恐怖心を与えることを重点的に強化してきた」と説明し、「結構難しかった。ちょっと違ったスタイルを見せられたらいいな」と笑顔を見せた。 2015年のプロデビュー戦前からずっとコンビを組んできた元東洋太平洋バンタム級王者の椎野大輝トレーナー(37)が、6月いっぱいで三迫ジムを退職するため、この試合が椎野トレーナーとのラストマッチとなる。「悲しいですよね。約9年間ずっと見てくれていた。僕はずっと椎野さんとくっついてやっていた。寂しいっすね」。哀愁に浸ったが、必ず椎野トレーナーに勝利をプレゼントすると決めている。「いつも通り闘って、おのずと結果がついてくると思う」と世界王者を目指して再スタートを切る。
興行はFODプレミアムで午後6時頃から生配信される。プロ戦績はWBOアジア・パシフィック同級14位の吉野が17戦16勝(12KO)1敗、ビクトリアーノが20戦13勝(10KO)7敗、2016年リオデジャネイロ五輪バンタム級銀メダリストで、世界3階級制覇王者のスティーブンソンが21戦21勝(10KO)。(尾﨑陽介)