極私的パーツ名鑑 ①~④【自作PC史&極私的パーツ名鑑】
■ 日本IBM PS/55 5535-S □1990年10月発表 最初のDOS/V対応機 【この記事に関する別の画像を見る】 5535-Sは386SX 16MHzを採用したラップトップPCで、16階調のバックライト付き白黒液晶パネルは16ドットで日本語を表示し、IBMのVGA (Video Graphics Array)規格 に対応していた。同時に発表されたのがIBM DOSバージョンJ4.0/Vで、この新しいOSは一定の条件を満たせば、日本語サポートのないPC互換機でも使えて、日本語表示できるだけでなく、容易に英語のDOS環境に切り換えて使えることが示唆されていた。当時、まだまだ少なかった日本のPC互換機ユーザーから注目を集めることになった。 □106キー配列の元祖でもある 5535-Sが残したものは最初のDOS/V対応PCということだけではない。そのキーボードのキー配列に注目してほしい。ラップトップゆえテンキーレス構成だが、後に106キーと呼ばれる日本語キーボードの標準キー配列を実装した最初のPCなのだ [TEXT:Ta 152H-1] ■ ソニー CDW-900E □CDの原盤制作で大活躍 CD-Rドライブの名機 今でこそ利用者が減ってきているが、21世紀初頭に一大ブームを巻き起こした記録型光ディスク。CDW-900Eはその元祖とも言える存在だ。音楽だけでなく、PCソフト、家庭用ゲームなどのCDと名が付くものの原盤制作用の機器として大活躍した名機で、当時、光ディスク専業ライターみたいなものだった筆者にとっては所持していて当然?みたいなCD-Rドライブだった。対応ソフトは少なく、SCSI接続で使いづらく気難しい面もあったが、時代の先駆けとなった製品であることは間違いない。 □本誌付録はこれで作っていた CDW-900Eは、本誌の付録CD-ROMの原盤制作にも活用されていた。CD-ROM のプレス前に問題がないかのチェックに利用できるなど、原盤作成以外にもさまざまな用途で活用されていた [TEXT:北川達也] ■ ASUSTeK Computer P/I-P55T2P4 実売価格:20,000円前後(販売当時) □自作ブーム初期を代表する大ベストセラー 自作ブームの初期におけるマザーボードの大ベストセラーモデルだ。まともに動かない製品が多かった中で抜群の安定性を誇り、ASUSTeKの名を日本市場に定着させる礎となった。当時、入り浸っていたアキバのTWOTOPというショップで、それなりの数が入荷したのに即完売してしまったという話を何度も聞いた。それほど売れた製品である。 初代はPentium(P54C)に対応していたが、リビジョンアップでMMX PentiumやK6-2などにも対応した。筆者もリビジョンが上がるたびに購入した記憶がある。 □メモリキャッシュを増設可能 オンボードキャッシュは256KBだったが、写真のようにCPUソケット横の専用スロットでキャッシュを増量できた。リビジョンによってはできないものや、256KB×2のキャッシュがオンボードで取り付けられているものもあった [TEXT:滝 伸次] ■ Matrox Millennium Ⅱ 標準価格:44,800円(掲載当時) □高解像度で映えるシャープな絵が好きだった 筆者が自作の道へ入り始めた頃、当時はモニタもインターフェースもアナログで、ビデオカードによって画質が違った。ATIの温かみのある絵もよかったが、筆者は高解像度で映えるMatroxのシャープな絵が好きだった。WRAMという特殊メモリの効果もあって2Dの描画性能も当時最速、増設で高解像度、高リフレッシュレートも可能。当時のCRTでは、リフレッシュレートが「チラつき」という万人が体感できる要素に直結していたため、高解像度高リフレッシュレート環境はちょっとしたステータスでもあった。 □画質の秘密はRAMDACにあり Matroxの画質はクッキリとシャープなイメージ。良質なモニタと組み合わせた際の高解像度、高リフレッシュレート環境では絶品だった。そのキモとなっていたのが、この高ドットクロックのRAMDACだ。 [TEXT:鈴木雅暢] ■ DOS/V POWER REPORT「2024年冬号」の記事をまるごと掲載 今回は、2023年末に休刊したDOS/V POWER REPORT「2024年冬号」の記事をまるごと掲載しています。 なお、AKIBA PC Hotline!では、DOS/V POWER REPORTで活躍していた人気ライター陣のレビューや連載記事を毎月掲載中。是非、製品購入時の参考にしてみてください。
AKIBA PC Hotline!,DOS/V POWER REPORT編集部