何を変えようとしている?自民憲法草案(10)緊急事態 緊急事態の宣言
第24回参院選の争点のひとつが、憲法改正です。現行の憲法をどのように変えようと、考えられているのでしょうか。そこで、2012年に自民党がまとめた「日本国憲法改正草案」を基に、テーマ別に現憲法との違いを取り上げていきます。 第10回は、草案に新設された第9章「緊急事態」第98条をみていきます。
緊急事態の宣言は国会の承認が必要
草案第9章「緊急事態」は第98条「緊急事態の宣言」と99条「緊急事態の宣言の効果」があります。 草案98条「緊急事態の宣言」では、わが国に対する「外部からの武力攻撃」、内乱等による「社会秩序の混乱」、地震等による「大規模な自然災害」と「その他法律で定める緊急事態」において、特に必要があると認めるときに、閣議にかけて、内閣総理大臣が宣言を発することができる、と書いています。 緊急事態の宣言は、事前または事後に「国会の承認を得なければならない」としていて、国会が「不承認の議決」、「宣言の解除を議決」したとき、または事態の推移で宣言を継続する必要がないときは、閣議にかけて宣言を「速やかに解除しなければならない」と記しています。 宣言が百日超えて継続するときは、百日を超えるごとに、「事前に国会の承認」を得なければならず、いずれの国会承認も予算案の衆議院の優越(草案60条2項)を準用し、予算案では「30日以内」となっている記載を「5日以内」に読み替えるものとする、としています。