札幌日大・小熊梓龍「運も味方に」打倒北海へ練習だけでなく普段の行動から見直し/南北海道
<高校野球南北海道大会:札幌日大9-2東海大札幌>◇6月30日◇札幌地区代表決定戦◇札幌円山 札幌地区では、初の夏の甲子園大会出場を狙う札幌日大が、9-2の7回コールドで、昨秋の全道大会準優勝の東海大札幌を下し、4年連続17度目の南大会出場を決めた。左腕エース小熊梓龍(しりゅう、3年)が7回7安打2失点。 3季連続の甲子園出場を狙う北海のほか、札幌光星、札幌第一、札幌大谷も南大会へ駒を進めた。この日、北大会の出場校が出そろい、7月1日には南大会の出場校が出そろう。 ◇ ◇ ◇ 小熊のハートは、最後まで揺れなかった。相手は昨秋の全道大会で準優勝し、センバツ出場にあと1歩まで迫った強力打線だ。初回の先頭打者に左前打を浴び、味方の失策も重なり2死一、二塁となったが、5番打者を中飛に仕留めた。2回は1死からは連打で二、三塁のピンチを招いたが、三振と一塁ゴロで、事なきを得た。最速143キロのエースは「厳しく、厳しく、厳しく、コースを狙った」と、表情を変えずに苦しかった立ち上がりを振り返った。 2度の悔しさが、原動力になった。昨秋は札幌地区予選2回戦で5-6、今春は同3回戦で2-3と、いずれも北海に敗れた。道大会を4季連続制覇中の古豪と比較して「甲子園に行くには、何が足りないのか考えた」。練習から常に厳しい場面を想定して精神力を鍛えたほか「運も味方につけるため」練習の行き帰りにはゴミも拾った。 「もう1度、土台を作りなおした」と森本琢朗監督(43)。チームが大事にする“主体性”は変えずに、プレーのセオリーを確認。日常生活の決めごとも、全部員が守るよう徹底した。 毎年のように優勝校の一角に挙げられながら、チームは初出場した02年センバツ以降、甲子園から遠ざかっている。「北海に勝ちたい思いはありますし、甲子園、日本一への思いもある。でも、まずは1戦1戦」と小熊。どんな相手にも、場面にも動じない心で、南大会を勝ち上がる。【中島洋尚】 ○…札幌第一 6-4と2点差まで迫られた9回1死満塁。二塁ライナーで飛び出した二塁走者もアウトにし、併殺で逃げ切った。9回10安打4失点(自責3)で150球を投げ抜いた右腕エース半田悠(2年)は「最後は(ボールの)伸びがなく連打を浴びました。1個上の先輩にかわいがってもらっていますし、先輩たちと一緒に絶対、甲子園に行きたい」と、明るい表情で南大会へ意気込んだ。 ○…札幌光星 学校創立・創部とも90周年の年に、札幌南を破った。人工芝グラウンドへの改修工事のため、南大会期間中に現在のグラウンドが使用できなくなる。7回を1安打完封と危なげない投球を見せた右腕エースの粕谷脩真(3年)は「南大会は一層気を引き締めて、無駄な球がないようにしていかないといけない」と、引き締まった表情で話した。 ○…北星学園大付 プロ10球団のスカウトが見守った身長192センチの大型右腕、エース石田充冴(じゅうざ、3年)の夏が終わった。大会2日前の練習中に左足首を痛め、全治1カ月と診断されながら4回途中から救援。最速149キロも、この日は144キロ止まりで、3点を失って札幌第一に敗れた。敗戦後は足を引きずり「痛みはありません。可能なら夢のプロ野球選手になるため、プロ志望届を出したい」と気丈に話した。