「極限まで血みどろ」ヴァンパイア史に新たな1ページを刻む!『アビゲイル』キャストチームが語る見どころ
『レディ・オア・ノット』(19)やリブート版「スクリーム」シリーズを手掛けた映像製作集団“レディオ・サイレンス”のマット・ベティネッリ=オルピン&タイラー・ジレット監督が放つ最新作『アビゲイル』(9月13日公開)。“ヴァンパイア”というモンスター映画の定番に新たなスタイルを盛り込んだ本作をさらに楽しむため、メインキャスト4名のインタビューをキャラクター紹介と共に紹介していこう。 【写真を見る】キャストらが「過去一番血みどろ」と振り返る『アビゲイル』 謎めいたフィクサーに雇われ、5000万ドルが手に入るという危険な誘拐計画に加わった6人の男女。彼らに与えられた使命は、大富豪の豪邸に侵入し12歳の娘アビゲイル(アリーシャ・ウィアー)を誘拐。人里離れた屋敷で夜が明けるまで彼女を監視することだった。順調にことが運び屋敷にたどり着いた彼らだったが、仲間が一人、また一人と姿を消していく。実はアビゲイルの正体は、“踊る吸血鬼”バレリーナ・ヴァンパイアだった…。 ■「極限まで血みどろでした」(メリッサ・バレラ) 警備が厳重な豪邸からアビゲイルを誘拐するため、彼女に鎮静剤を投与する役目を担った医師のジョーイを演じたのは、監督コンビの代表作であるリブート版『スクリーム』(22)、『スクリーム6』(23)で主人公のサム役を演じたメリッサ・バレラ。従軍経験を経て薬物乱用の問題を抱えているジョーイは幼い息子との再会を夢見ており、更生に向けて努力をしているのだが、人生を変えるために犯罪計画に手を染めてしまうという複雑なキャラクターだ。 「いままで散々血まみれになってきたけど、今回が過去最高記録。極限まで血みどろでした」と振り返るバレラは、「ジョーイはタフな女性。演じる上では映画の冒頭で彼女の傷つきやすい面を見せたり、目に見える以上のものがあると示すことが大事でした。彼女は多くの痛みを抱えていて、それが作品を通して伝わるようにしたかった」と説明。そして「終盤で感情的なシーンになった時、きっと観客は彼女に感情移入し応援したくなるはずです」と語る。 一方、誘拐犯たちを恐怖のどん底に陥れるアビゲイルを演じたのは、『マチルダ・ザ・ミュージカル』(22)で脚光を浴びたアリーシャ・ウィアー。元々ホラー映画が大好きだったという彼女は「今回のような役を演じるのは初めて。かわいらしいアビゲイルが誘拐されるのを観て同情するだろうけど、きっと本性を知ったらビックリするはずです」と観客の反応に期待を寄せ、「アビゲイルを演じることができて、思い出に残る瞬間がたくさんありました」と充実した撮影期間を振り返る。 「最高のキャストとスタッフに恵まれ、撮影現場に行けば毎日とても楽しいことが待っていました。初めて挑戦することもたくさんあって、特にファイトシーンはもっともチャレンジングなことでした。家に帰ってからもスタントの練習をして、次の日に現場に戻ってそれを演じる。毎日が本当に楽しくて、アビゲイルを演じることはとてもエキサイティングでクレイジーで、毎日がハイライトでした」 ■「襲う役は、自分らしくないことができる」(キャスリン・ニュートン) 「犯罪映画だと聞いていたので、脚本を読んでおどろきました。バレリーナのヴァンパイアを見るのは初めてだった」と語るのは、人気ドラマ「ダウントン・アビー」や『美女と野獣』(17)で知られ、本作では犯罪グループのリーダーである元刑事フランク役を演じたダン・スティーヴンスだ。 リーダーとしての地位に固執し、ジョーイと何度も対立するフランクについてスティーヴンスは「過去から逃れようとしているし、自分を変えようとしている男だ。でもいままでの人生で何度も誤った決断をしてきたし、今回も決断を誤ってしまう」と説明。「どんどん事態は悪化していくし、彼はそれに腹を立てる。そのことが彼にとてもナイスな物語の展開をもたらしています」と、楽しみながら役柄を作り上げていったことを振り返っている。 そして大金目当てではなくスリルを求めて犯罪計画に加わる凄腕ハッカーのサミーを演じたのは、『ザ・スイッチ』(20)や『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(23)のキャスリン・ニュートン。「サミーは少し謎めいた女性で、内面や本音を隠そうとする。じっと周囲を観察して、積極的には人と関わろうとしないタイプです」と自身の役柄について分析した彼女は、「エレガントでいて、タフであろうとするお嬢様でもある。すごくカッコいいから大好きになりました」と、憧れを持ちながら役に臨んでいたことを明かす。 かねてからヴァンパイア映画への出演を夢見ていたというニュートンは、劇中で“襲う側”と“襲われる側”の両方を演じている。「襲われる方が人間らしくて演じるのは簡単だけど、襲う人になる方がより楽しかったです。ほかの映画を見ていても、悪役のなかに自分にもあるダークな人間性を見て同情したり、共感してしまう。襲う役を演じることは、なにか自分らしくないことができ、とても自由に感じるものです」と振り返った。 ■「ジェットコースターに乗ったような気分になって!」(アリーシャ・ウィアー) 本作の最大の特徴は、ホラー映画でありながらもユニークでユーモアにあふれたエンタテインメント作品であるということ。しばしば表裏一体の関係ともいわれるホラーとコメディ、その絶妙なバランスが保たれていることについてスティーヴンスは「マットとタイラーのリードのおかげ」と監督コンビを讃える。「非常に恐ろしくて怖くてグロテスクなものと、非常にバカバカしくておかしくて奇妙なものとのあいだを綱渡りしているのが“レディオ・サイレンス”だ。彼らはキャストをとても上手く導いてくれたと思います」。 それを受けてニュートンも「この映画では、コメディはホラーを通して出てくるものです」と説明。「殺される場面は本当にグロテスクで怖いけれど、同時に笑いを誘うものがたくさんある。そしてなにより、善良ではない登場人物たちがリアルな人間であるように心掛けているから、私たち自身も彼らに共感できる。願わくば観客の皆さんには彼らを応援し、彼らに悪いことが起こってもハッピーな気持ちを味わってもらえるとうれしいです」と語る。 また同様にバレラも「私たちは観客にただ楽しんでもらいたい、楽しい時間を過ごしてもらいたいと思っています」と本作に込めた思いを述べる。「映画館を出る時に、こんなにも楽しいとは想像していなかったと大笑いして、笑顔で帰ってもらい、願わくば友達を連れてもう一度観に行きたいと思ってもらいたい」。さらにウィアーも「ある時点では誘拐犯を、またある時点ではアビゲイルを応援し、そしてジョーイを応援しながら、私たちと一緒にジェットコースターに乗ったような気分になってもらえたらうれしいです」と期待に胸をはずませる。 そしてバレラは「この映画には“本来の姿をあらわす”ことへの美しいメッセージも込められています。親であることや、自分の子どものために本性を見せることの意味について。血や狂気、スペクタクルやコメディがありつつ、そこにはたくさんのハートがある。だから観客の皆さんにはそのことも楽しんでもらいたいし、感じてもらいたい」と熱弁。「もう一つ望むのは、続編をやるならばヴァンパイアになってほかのモンスターたちと戦いたい。だから皆さんぜひ映画館に行って!そうすれば、きっと続編を作ることができます」と呼びかけていた。 構成・文/久保田 和馬