結成わずか3年でロック界の頂点へ…オアシスの軌跡を辿る長編ドキュメンタリー「オアシス:スーパーソニック」 見どころを紹介
全世界でCDトータルセールス5000万枚以上を記録した、イギリスの伝説的ロックバンド・オアシス。2009年に解散したもものの、約15年の年月を経て、8月27日に再結成を発表した。2025年にはワールドツアーの開催も予定しており、大きな話題となっている。動画配信サービス・Huluでは、そんなオアシス初の長編ドキュメンタリー作品となる「オアシス:スーパーソニック」を見放題配信中。そこで今回は、本作の内容や見どころについて紹介していく。 【動画】イギリス史上最速でロック界の頂点に立ったオアシスの初のドキュメンタリー「オアシス:スーパーソニック」 ■オアシスの軌跡を描いたドキュメンタリー作品「オアシス:スーパーソニック」 オアシスは1994年にデビューを果たすと、1995年にリリースしたアルバム『モーニング・グローリー』がイギリスで500万枚、世界規模では2200万枚の販売を記録。中でもアルバム収録曲「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」は日本でも知名度が高い楽曲で、テレビCMなどにも起用されてきた名曲として知られている。 そんな同バンドの中心メンバーであるリアム&ノエル・ギャラガー兄弟が製作総指揮を務めた「オアシス:スーパーソニック」は、バンド結成から2日間で25万人もの観客を動員した、1996年のネブワース・ライブまでの軌跡を描いたオアシス初となる長編ドキュメンタリーだ。アカデミー賞最優秀ドキュメンタリー賞に輝いた「AMY エイミー」のスタッフが結集し製作されたこともあり、公開当時から注目を集めていた。 本作では「ロックンロール・スター」「リヴ・フォーエヴァー」「ワンダーウォール」「モーニング・グローリー」などの名曲が続々と登場し、貴重なライブ映像に加えリアム&ノエルのインタビューや関係者の証言を、一部アニメーションによって再現しながら展開していく。本作を通して、オアシスが結成わずか3年ほどでロック界の頂点に輝くまでの軌跡を辿ることができる。 ■才能を持つ兄弟と、それを見守る家族の物語 「オアシスはフェラーリと同じだ。ルックスも音も最高だが、飛ばしすぎると制御不能になる」――オアシスを知る関係者はこう語っている。すべての始まりとなったリアム&ノエル・ギャラガー兄弟は、デビュー前からぶつかり合うことも多かった。 兄のノエルは自己中心的な面を持っており、オアシスのリーダーであり作曲も担当することから圧倒的な権力を持つ。弟のリアムも破天荒な性格の持ち主で、そんな兄のやり方に苦言を呈することも…。しかし、2人が共通する“バンドへの想い”や“自分たちが世界一のロックバンドだ”という野心を追求する部分は共通しており、練習を重ね徐々に頭角を現していく。 本作の見どころの一つは、リアム&ノエル兄弟が明かす“家族への想い”。2人の母親で、女手一つで育児をしてきたペギーは、もともとロック・ビジネスを良く思っていなかった。2人がレコード会社と契約したことを知った際は喜んだそうだが、インタビューで「すべてがあまりにもあっという間で…」と当時の複雑な心境を語っていた。しかし、普段自己中心的な性格のノエルでさえペギーへの感謝を忘れることはなかった。そんなノエルは、作中で「お袋には胸を張ってほしい」「楽してほしい」と語っている。 ■驚異的なスピードでレコーディングを終えていくオアシス 本作では、バンド内で起きるトラブルの数々も明かされる。オアシスが初めてアメリカへ遠征に行った際、“アメリカで成功することの意味”を大きく感じていた彼らは気合十分だった。しかしメンバーに提示されたセットリストが異なっていたり、演奏に使うタンバリンを落としたりするなどのミスにより、ノエルは「バンドを辞める」と言い残して行方不明になってしまったのだ。一度はバラバラになったかと思われたオアシスだが、その後ノエルは戻り、紆余曲折あったものの、バンドとして見事に再発進を切った。 また、オアシスの支柱として作曲や編曲を担当するリーダー・ノエルが、アルバム『モーニング・グローリー』の録音期間に“1日1曲”という高速レベルでレコーディングを完成させていく様子にもぜひ注目したい。周囲も「彼は神だ」と恐れおののいている。そんなノエルに負けじと、リアムも一度聴いた楽曲を即座に歌い、“5日で5曲”という驚異的なスピードでアルバム収録を終えていく。個性の強い兄弟の連携が取れた瞬間は、本作の大きな見どころの一つと言えるだろう。 そして1996年のネブワースで行われたライブシーン。大勢の観客に迎えられすべてを出し切るオアシスの姿は、ロックシーンの歴史に名を残すほど熱狂的なシーンに仕上がっている。 結成から立ち止まることなく世界の頂点へ上り詰めたオアシス。再結成された今だからこそ、彼らの躍動感あふれるライブやレコーディングなどの音楽シーンとともに、成功に至るまでの壮大なストーリーを改めて振り返って観てはいかがだろうか。