[山口県]中国の調理師免許「特級」所有 孫シェフが腕振るう 岩国シティビューホテル
岩国市麻里布町の「岩国シティビューホテル」で中国政府が発行する調理師免許の「特級」を所有する男性シェフの料理が宿泊客に好評だ。市が官民挙げて世界文化遺産登録を目指す国名勝、錦帯橋などを目的に市には米国や中国など年間約2万人の外国人観光客が訪れるだけに「自信のある手作りシューマイや春巻きなどうまい中国料理を提供し、岩国の食の魅力も満喫してほしい」と笑顔で中華包丁を握る。 同ホテルの森重政子社長によると、シェフは中国・天津市出身の孫明田さん(64)。約30年前に来日し、山口市などの店で腕を磨いてきた。約4年前、勤務していた中国人シェフが家族の看病で帰国することになり「私の師匠を紹介する」として請われた孫さんが名古屋市の店舗を辞め、岩国で後任を引き受けた。 孫シェフは中華料理店を営んでいた父親の背中を見て18歳で料理人になった。日本の調理師に当たる資格を中国で取得し、その中でもごく一部しか合格できない「特級免許」に2002年12月に合格した。ニンジンの皮を2ミリの薄さでむく試験などもあるといい、36歳の時には野菜をカットする中国全土の試験で2位になった経歴もある。 そんな孫さんの得意な料理は毎日手作りするシューマイと春巻き。ホテルでは23年2月でランチ営業とディナーをやめたため、毎朝のモーニングで腕を振るう。八宝菜やマーボー豆腐、酢豚などの中華がメインで、「ここの朝食を食べたいから」と宿泊する常連客も多いという。冷凍物は極力使わず、「常においしい料理を出すことだけを考えている」と心がけを語る。 新型コロナウイルス禍も落ち着きインバウンド客も流行前のレベルまで回復しつつある。森重社長は「料理でも岩国を満喫してもらえるよう、おもてなしに努めたい」と奮闘を誓う。