推し活、社会貢献からお小遣い稼ぎまで……⁉ 車にステッカーを貼るだけで〝できること〟
「『アイドルマスター』というのは’00年代にアーケードゲームだった頃から、ファンが支えてきたコンテンツなんです。私はそれを応援しているファンなので、ぜひ今回のキャンペーンに参加しようと思った次第です。いわゆるアイドルにおける推しみたいなものと思っていただければわかりやすいと思います」 【衝撃】すごい……まるで〝痛車〟『ミリオンライブ!』キャンペーンでステッカーをフルに貼った車 こう話すのは、愛車のリアウインドウにアニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!』のステッカーをデカデカと貼っている40代の会社員・みなみのさん。まるで広告みたいなことになっているが、実はこれは本当に広告なのだ。 これは一般車にステッカーを貼って広告をするというサービスを提供している㈱チアドライブが行っていたキャンペーンの1つ。ファンは参加費を支払ってキャンペーンにエントリー。ステッカーを貼って規定の距離を走行すると、限定グッズ(ステッカーセットやブランケット)などの特典がもらえる。参加費用は貼るステッカーの大きさや枚数、特典の内容などによって3つのコースがあり、2950~8550円(税込み・料金はすべて税込み表示)となっている。 『アイドルマスター』を知らない人にとっては、なかなか手が出づらい出費だ。だが、ファンにとってみれば、まったくそんなことはないとみなみのさんは言う。 「そのお金に対するリターンよりも、それでも自分はお金を出してでもこのコンテンツを応援したいんだというような考え方。単純にスポーツを応援している人が同じ気持ちだと思うんですよね。例えば巨人のファンだったら、巨人のグッズを持って球場に応援に行くじゃないですか。あれと同じ考え方です」 実際、チアドライブのキャンペーンには、野球やサッカーなどのスポーツチームのキャンペーンもある。こういったキャンペーンの場合、クライアントの側は比較的少ない出費で宣伝ができ、ファンの側は好きな〝推し〟を応援できるとあって、お互いにwin-winなのだという。 応援は〝推し活〟だけではない。『能登半島地震支援企画』に参加した医師の新村浩明さん(56)は次のように語る。 「私は実家が富山県の氷見市なんです。また、勤め先が福島県いわき市で東日本大震災も経験しています。地元のために何かできないかと思っていたときに、この企画をネットで知って参加しました。寄付にもなるし、実は私は単身赴任で、毎週末は家族がいる東京へ車で帰っています。ステッカーを貼って走ることで多くの人に能登のことを考えてもらえれば、とも思ったので」 このキャンペーンの場合、参加費4000円は全額「日本赤十字社」への寄付に充てられる。ステッカー代などの経費はチアドライブ側の持ち出しだという。これ以外にも一般社団法人やNPO法人の障がい者支援やウクライナ支援などの取り組みを応援するキャンペーンも充実させているそうだ。社会貢献のためにお金を寄付するだけでなく〝応援〟もできるという新しい支援の形なのだ。 また、茨城県庁のキャンペーンでは参加費500円を払いメロンのステッカーを車に貼って500㎞走るとメロンが1玉もらえたり、参加費1000円で5000円のレトルト食品がもらえる丸大食品のキャンペーンなど、ちょっとトクができるキャンペーンもある。 だが、チアドライブが’21年の4月に事業を始めた時点では、新たなシェアリングエコノミーとして、「走るだけでお金がもらえる」新しい広告の形としてのスタートだった。 「ただ、当時はコロナ禍で屋外広告が市場としてまったくダメな状態だったんです。そんなときにドライバー側に支援してもらうような仕組みとしての可能性もあるんじゃないかと思い、アイドルグループや、スポーツチームとのお取り組みを実施したところ、クライアント企業様にもドライバー様にも喜んでいただけたんです」(チアドライブ代表・保科昌孝氏) コロナが落ち着いた現在は、ようやく本来の広告としてのドライバーがお金を稼げるような事業に力を入れると保科氏は語る。 「報酬型プランといって、4月からリリースされるキャンペーンでは新しくドライバーランク制度が導入されます。ドライバーランクが高い人は1km走ることで5円、低い人は3円の報酬がもらえるというものです。ドライバーランクは、過去にどれだけキャンペーンに参加したのか、またどれだけ走行してくれたかで決まります。これは純粋な広告で、ドライバーの参加費は無料、走ることで最大5000円の報酬がもらえるような形になっております」 クライアント側は車1台あたり1ヵ月1万円、10台から利用できる。さらに現在全国で5万5000人のドライバーが登録されていて、市町村単位から全国規模で広告を打つことも可能。つまり街のレストランの開店告知から、大企業の全国キャンペーンまで対応できるのだという。 さらにステッカーを貼る場所は車だけとは限らない。保科氏は将来的にはさらなる可能性を視野に入れているようだ。 「車以外の掲載場所の可能性について考えています。若者や東京に住んでいる20代、30代の方は、車を持っていない方が多い。そういう方々でも日常の生活の中で広告費が稼げるような手法も、色々考えられるかなと思っていますね」 車にステッカーを貼ることで、推し活や社会貢献ができたり、お金を稼ぐこともできてしまうこと自体驚きだが、何かにステッカーを貼ることで〝できること〟はまだまだありそうなのだ。
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