【バレー】日本一にも「自分、何もしてない」と嘆いた水町泰杜は完全燃焼できたのか? 学生生活最後に味わった“あの感覚”
学生バレー最後の試合となったジェイテクト戦
12月9日、天皇杯ファイナルラウンド2回戦。早稲田はジェイテクトSTINGSと対戦し、競り合う展開をつくる。だが、シーズンを通してトスを上げていたセッター前田凌吾(2年)を体調不良で欠き、これまでと違う戦いかたを強いられた。 そこでは、どうしても水町の打数が多くなった。それでも決めきるのだが、Vリーグのチームを相手にするからには、これまで以上にギアを上げる必要が出てくる。ゲームが進み、打数を重ねるごとに水町の体にはじわりと疲労が溜まっていく。 「2セット目くらいから、けっこう太ももにきていました。きついなぁ、と思いながらプレーしていましたね」 思えば、そんな言葉を聞くのも久しかった。高校2年目から絶対的エースとしてコートに立ち、そこでは限界を突破してでも最後までスパイクを打ち抜いた。そのため、試合終盤で足をつるのは、戦いのレベルが上がるほど見られた光景だった。
「久しぶりに打数が多かった」と水町。ジェイテクトを相手に全開でプレー
美談にするわけではないが、それでも本人は“自分がチームを勝たせる”思いがあったからこそ、その現実を受け止め、向き合っていた。トレーニングのほか、プレー中にはカーフスリーブの着用を試したり、日頃のサプリや食事による栄養摂取など、できることは何でもトライした。やがて大学では、エースに変わりなかったものの、仲間に託しながらチームの一員として戦うことを体感したのである。 ただし、この日のジェイテクト戦だけは別だった。1週間前には抱くことのなかった筋疲労が、体を支配していた。 第3セット、福山汰一のショートサーブが水町の手前に落とされる。足は動かず、突っ伏すようにして手を伸ばすもボールに届かない。限界だった。 「しんどい…、しんどいけれど、気持ちよかったです!!」 その感覚を懐かしみ、そして惜しむようにして笑った水町。完全燃焼できたんだな。見ているこちらが、そう確信できるほどの清々しい表情だった。 (文・写真/坂口功将)
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