【MotoGP第9戦ドイツGP】表彰台に返り咲きのMoto3古里太陽選手 “悔しい”2位に複雑な表情も
優勝を逃すも今シーズン2度目の表彰台
MotoGP第9戦ドイツGPのMoto3クラス決勝レースで、チェッカーを2位で受けた古里太陽選手(ホンダ)の左手が、タンクを叩きました。古里選手は、得意とするザクセンリンクで優勝を目標に掲げていたのです。悔しさが、レースが終わったときにあふれたのでした。 【画像】今季2度目の表彰台に上ったMoto3古里選手を画像で見る(6枚)
それまでの展開は、パーフェクトに近いものでした。8番手からスタートすると、1周目に5番手に浮上してトップ集団の前方につけます。2周目にトップを走っていたコリン・ベイヤー選手(リキモリ・ハスクバーナ・インタクトGP)が転倒を喫すると、古里選手はこれ以上レースペースが上がらないと考え、タイヤを温存することにしました。 ザクセンリンクは13のコーナーのうち、左コーナーが10で極端に多く、右コーナーは3つしかありません。このため、古里選手はタイヤの左側をいたわって走り、最終ラップに備えていたのです。 今季のホンダのマシンは、KTMに比べてストレートで後れを取っていましたが、長いストレートが少ないザクセンリンクでは、そうしたウイークポイントが出づらいということもありました。 最終ラップはトップを走るダビド・アロンソ選手(CFモト)にぴたりとついていました。しかし、10コーナーでハイサイドしかけたことでアロンソ選手との差が開き、2位でゴールしたのでした。 「ストレートでは何度かリミッターにあたっていて、伸び切らないところが多かったんです。10コーナーでその分のアクセルを足したら、スライドが多くなってしまいました」 チームに迎えられたパルクフェルメでも、なかなか笑顔を浮かべなかった古里選手に、「今は、少し嬉しい気持ちがありますか?」と会見後に尋ねると、それでも「うーん、そうですね」と、複雑な表情を浮かべます。
「今年のフィーリングだったら、何度か表彰台に乗れるかな、と思っていたんです。確かにミスでそういう結果を逃した部分が多かったけど、近いポジションにいることも多かったですから。2位も嬉しいですけど……。1位と3位は嬉しいと思うんですけど、2位だとやっぱり、悔しいが出ちゃうので」 古里選手にとって、今回が開幕戦カタールGPに次ぐ今季2度目の表彰台でした。前々戦のイタリアGPで表彰台争いを展開して4位。前戦オランダGPでは、自己ベストグリッドであるフロントロウ(1列目)2番手からスタートして、オーバーランによって後退するまで表彰台圏内を走りました。古里選手自身のコメントからも、自分の走りが「表彰台に近いところにいる」と考えていることが窺えます。 「誕生日も5日後(7月12日)なので、サマーブレイク前の締めくくりとしては悪くないです。サマーブレイクはスペインに残って、後半戦に向けて、チームとトレーニングをする予定です」 サマーブレイクのあと、19歳になった古里選手の活躍はさらに増えていくことでしょう。 約3週間のサマーブレイク後、MotoGP第10戦イギリスGPは8月2日から4日にかけて、イギリスのシルバーストン・サーキットで行なわれます。 ■Moto3クラスとは…… Moto3クラスは、排気量250ccの4ストローク単気筒エンジンを搭載するレーシングマシンで争われる。Moto2クラス同様、タイヤは2024年よりピレリのワンメイクになった。MotoGPクラス、Moto2クラス、Moto3クラスの中で、参戦するライダーの年齢層が最も低く、Moto2クラス、MotoGPクラスへの昇格を目指す若いライダーたちがしのぎを削る。
伊藤英里