コロナ禍が影響?イギリスで「摂食障害」に苦しむ10代の若者が急増の理由
新型コロナウイルスによって、さまざまな行動が制限されてきたここ数年。社会とのつながりを閉ざされ、心の健康を保つためのケアが十分にできなかったことから、現在イギリスでは摂食障害に苦しむ若者が急増している。 ※本記事には、摂食障害に関する記述が含まれています。
多くの若者が抱える摂食障害
イギリスの国民保健サービス(NHS)が発表した新しい報告書『Mental Health of Children and Young People in England 2023』によると、イギリスの17歳~19歳の12.5%が摂食障害を抱えているという。 2017年には0.8%と100人に1人未満だったものの、2023年現在は8人に1人の若者が過食症や拒食症、暴飲暴食に苦しんでいるとのこと。男性の割合は0.0%から5.1%に、そして女性の割合は1.6%から20.8%にまで上昇している。 同調査は8歳~25歳までの2,370人を対象に行われており、20歳~25歳の5.9%、11歳~16歳の2.6%が摂食障害を患っていることも明らかとなった。
<Daily Mail>によると、イギリスの摂食障害の慈善団体「ビート」の渉外担当ディレクターのトム・クイン氏は、「これら数字は、イギリスの子どもや若者の摂食障害の深刻さを浮き彫りにした」と述べている。 「摂食障害はまれな精神疾患だと思われがちです。しかしこの新しいデータによって、摂食障害は多くの人が思っているよりもずっと一般的な病であることが明確に示されています」 メンタルヘルス政策の最前線に成人も含めた当事者を支援すること、そして早急に資金を優先的に投入すべきだとも語ったクイン氏。また、摂食障害に苦しむ若者が増えた要因については、このようにコメントしている。 「新型コロナウイルスによるロックダウン中、 多くの若者は数週間から数カ月にわたって社会的交流が失われ、子どもたちの安全を守る存在である先生や養護教論は摂食障害の初期の兆候に気づくことができない状況にありました。さらにSNSで有害なコンテンツを見る時間が長くなることで、もともと体調が優れなかったり、環境から影響を受けやすかったりする人の症状をより悪化させた可能性があります」