断層帯など12カ所、10月に調査 富山県防災会議 地震被害想定、連動ケースも
富山県防災会議の地震対策部会は30日、県防災危機管理センターで開かれ、庄川断層帯や高岡断層など12カ所を対象に、被害想定調査を行う方針を示した。能登半島地震を教訓に断層が連動するケースを含めた。調査するのは「宅地の液状化被害」や「上水道」など43項目。県は県議会9月定例会に提案する補正予算案に調査費を計上し、10月に着手する。2026年度中に、県地域防災計画に調査結果を反映させる予定で、最大限のリスクを想定し、備えを万全にする。 同部会の地震・津波調査検討ワーキンググループ(WG)が5月から調査対象や項目を協議してきた。政府が2日に公表した、長さ20キロ以上でM7以上の地震が想定される日本海側の海域断層25カ所に関する「長期評価」の結果も参考にした。 WGの川崎一朗座長(京大名誉教授)は、能登半島地震では複数の断層が連動したことで大きな被害が出たと指摘。高岡断層が周辺の断層と連動した場合、高岡市役所や消防本部の機能に影響が出る可能性があるとし「連動の発生確率は高くないが、最悪のケースを想定して調査すべき」と力を込めた。 17年の前回時は人的、物的、建物被害の分野で13項目を調査したが、今回はライフラインや交通施設、災害廃棄物などの分野を追加し、前回の2倍以上となる43項目を調査する。 呉羽山断層帯など過去に調査した断層も再度調べる。完了までに2年程度掛かると見ており、25年度内に中間報告する。 室﨑益輝部会長(神戸大名誉教授)は、高齢化率を考慮する必要があるとし「転ばぬ先のつえとして、最悪の場合に何が起きるか調査してもらいたい」と求めた。県町村会長の舟橋貴之立山町長は、地震時に輪島市で大規模火災が発生したことに触れ「空き家は木造が多く、住宅密集地での対策が重要だ」との見解を示した。 ●津波は3地域 津波のシミュレーション調査では、三つの地域で、浸水想定面積や津波の最高水位、到達時間を予測。人的、建物被害や防災対策を講じた際の被害軽減効果などを算出する。 新田八朗知事は「県民が正しく災害リスクを認識し、備えることができるようにする」と述べた。