外食は年間600回以上! マッキー牧元の発掘!地方の名店~大分編~
そこで、別府駅からは離れた「胡月」にやってきた。「胡月」の先代が、昭和20年代に始めたということで、駅前の「大陸ラーメン」とともに別府冷麺の老舗とされている。 「胡月」は、2017年に一旦閉店し、常連客が味を引き継いでやられているのだという。
店の前には定義が記されていた。 1. そば粉配合のコシの強い麺 2. キャベツの自家製キムチ 3. 牛肉のチャーシュー この3点が「別府冷麺」の原則らしい。
確かに韓国の冷麺は、そば粉、さつまいも粉、じゃがいもやとうもろこしのでんぷんを使用した麺があるし、キムチは白菜、肉は牛肉であるがゆで肉である。 店に入って品書きを見ると「冷麺」と「チャーシュウ冷麺」しかなく潔い。
やがて運ばれて来た冷麺のスープを一口飲んで、頬が緩んだ。 昆布や醤油は感じるが、牛肉の出汁なのだろうか。澄んだ味わいで塩気も淡く、粉の味も感じず、しみじみとうまい。そしてそば粉と小麦粉を合わせたという麺がたくましい。平壌冷麺を少し太くしたような麺はコシが凛々しい。
ぐっと顎に力を入れないと噛みきれない強さを持ち、口の中で30回以上噛まないと消えていかないのである。一回啜って15回ほど噛んでいるところへ、レンゲでスープを流し込む。これがいい。 澄んだうまみを持つスープの味わいの中で、たくましい麺が舞うというそのコントラストに惚れてしまう。
具は、キャベツのキムチ、牛チャーシュー(と書かれているが、スネ肉系をゆでたスユク的なもので韓国冷麺に準じている)、ネギ、胡麻、ゆで卵になる。 韓国冷麺ならここに溶きカラシや酢、韓国醤油を入れて味変するところだが、卓上にはなく一味を入れて味変をした。
とにかく噛む回数が多いので「冷麺(並盛)」900円でも十二分にお腹が膨れてくる。そして最後には、もう一口、もう一口とスープを全部飲み干してしまうのであった。
胡月
住所 : 大分県別府市石垣東8-1-26 TEL : 0977-25-2735 ※価格は税込
文:マッキー牧元