仕事ができない二流は「検討します」と言いながら「いい断り文句」を考えている。じゃあ、一流は?
「自分の仕事に足りないことを全部言語化してくれる本」「会社員人生が180度、変わった!」 そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。 今回は、全ビジネスパーソンに必須の「意思決定」のあり方を指南する、シリーズ最新刊『パーフェクトな意思決定 「決める瞬間」の思考法』の中から、特別に本書のエッセンスを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健) ● 「よく考える」の中身 「よく考える」という言葉があります。 これは、きちんと定義されないと、誤解を生み出しかねません。 その問題について述べましょう。 ためしに、次の2つの言葉を聞いて、それぞれどれくらいの時間を想像するでしょうか。 「すぐに決めてください」 「慎重に決めてください」 おそらく、人によって解釈はバラバラでしょう。 では、自分の子どもから、次のように言われたらどう感じますか。 「将来の進路について、1時間考えて決めたよ」 いかがでしょう。 早いほうですか。それとも遅いほうでしょうか。 「たった1時間? もっと考えたほうがいい」 と思ったことでしょう。 たしかに、「将来の進路」という大きな決断において、1時間という時間は物足りない気がします。 しかし、その子は、これまでにたくさんの情報に触れていることでしょう。 親や先生、友達から、さまざまな意見を聞いた。 さらに、インターネットや動画、記事によって、情報も仕入れている。 それらを総動員して、最終的に1時間、机に向かって、じっくり考えたのです。 そう思うと、「よく考えた」と感じないでしょうか。 ● 「瞬発力」は、いらない あなたの仕事でも、同じ状況があると思います。 ある期限までに決断しないといけない課題があるとしましょう。 そのために、必要な判断材料を並べ、ためしに「実際の1時間」を体感してみてください。 その間、スマホを触るのはダメ。 1つの物事に関して、1時間を費やしてみるのです。 60分、3600秒を体感する。 いかがでしょう。きっと長いはずです。 「よし、十分に、よく考えた」と感じることでしょう。 つまり、合理的に賢く考えたい人は、「時間的な余裕をつくる」ということです。 「本能的に結論を出してしまう」 「反射的に答えを与えてしまう」 そんな失敗を避けるためには、1時間ほどあれば十分です。 「すぐ決める」「即決」という表現は、もしかすると誤解を生むかもしれません。 まるで、現場の声を聞かずに、会議室でたった1秒で決めないといけない気がするかもしれません。 刑事ドラマで、時限爆弾を目の前にして、「赤か、青か。どっちを切ればいいですか?」というようなもの。 緊急事態に政府の会議において、「総理、自衛隊を出動させるかどうか、いますぐ決めてください!」と言われるようなもの。 医療ドラマで、「患者の心拍数が下がっています!どうしますか?」と言われるようなもの。 そのようなシーンを想像してしまいます。 ただ、仕事は、そんな緊急ではないことがほとんどです。 瞬発力は必要ないのです。 ● 「断り文句」を考えているだけ 集まった情報と向き合い、1時間ほど考える。 いや、30分考える。もしくは10分考える。 それだけでも、じっくりと考えることができるでしょう。 それ以上の時間をかけてしまうのは、ただ「勇気」がないだけかもしれません。 あるいは、「いい断り文句」を考えているのでしょう。 だから、「検討します」と言いたくなる。 二流の人は、そんなことを繰り返すから仕事ができない人になるのです。 一方で、仕事ができる一流は、相手の時間のことを考えます。 さっさと断ったほうが、相手は次の行動が取れるのです。 いい返事を期待させておいて、精一杯、時間を引き延ばし、「やっぱりできません」と言われるほうが迷惑です。 自分に置き換えたら、わかることでしょう。 もし本当に時間が必要なのであれば、 「どんな情報が足りないのかを提示する」 「具体的な期限を提示する」 というアクションをとりましょう。 無闇に時間をかけて、「検討」という言葉に逃げることが「よく考える」ということではない。 そのことを押さえておきましょう。 (本稿は、『パーフェクトな意思決定』の著者・安藤広大氏が特別に書き下ろしたものです) 安藤広大(あんどう・こうだい) 株式会社識学 代表取締役社長 1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。
安藤広大