「何ですの?それ」。山根明前会長vs連盟の騒動再燃?!連盟は除名処分に加え刑事告訴を準備
日本ボクシング連盟の臨時総会が16日、都内の岸記念体育会館で全国から69人の会員が集まって行われ、助成金の不正流用などで辞任した山根明・前会長の除名処分を来年2月の総会で正式決議することを決定した。山根・前会長には、来年の総会までに弁明の機会が与えられるが、連盟側は「おそらく返事もこないだろう」と推測している。ただもし除名を不服として徹底抗戦に転じてきた場合は、「確固たる証拠が固まることを条件に」横領、背任などの罪で刑事告訴する準備を進めていることを明らかにした。テレビへの露出などを続ける山根・前会長の影響力を未来永劫、根絶やしにするつもりだ。 新体制以降、初開催となった総会で、山根・前会長、息子である昌守・前副会長、内海祥子・前常務理事の3人の除名、吉森照夫・前専務理事の資格停止の処分案が提案されて承認された。総会には、山根・前会長のお膝元である関西の連盟からも、理事長や会長が出席したが、とりたてて異議は出なかったという。 数々の不正、パワハラ問題、反社会的勢力との交流などを理由に、すでに辞任した山根・前会長を事実上の永久追放とも言える除名処分に課す理由は、今なお、理事などへの恫喝が続いていること、テレビなどで連盟の名誉を傷つける発言を繰り返していること、そして、スポーツ庁、JOC(日本オリンピック委員会)からの“指導”があったことの3点。 菊池浩吉副会長の説明によると、閉鎖している大阪事務所に残した私物を取りにきた山根・前会長が施錠されていることに激怒。連盟事務所に電話をしてきて、「勝手に閉めるな!」と「狂ったように激しい口調で恫喝した」という。 連盟の定款にのっとり、まず除名処分を来年の総会で決定する旨を本人に文書で通知。総会までに弁明の機会を付与するが、連盟の顧問でもある戸田裕典弁護士は、「弁明は基本的に文書になると思うが、直接、総会で話をしてもらってもかまわない。ただ、これまでの流れからして、おそらく弁明をする、しないの返事もないでしょう」との見通しを語った。この日、山根・前会長はフジテレビ系「FNN重大ニュース ニュース総決算2018」で、除名処分について、「ちゃんちゃらおかしい」と発言。また「簡単に言えば別団体のアマチュアボクシング連盟を作るかもわかりません。腹が立ったらやる。来年になるか再来年になるか。やろう思ったらやれます」と、日本ボクシング連盟に対抗する新組織の設立まで口にするなど徹底抗戦の姿勢を明らかにした。 筆者も改めて続いている恫喝などを理由に除名処分の方針が決まったことと、弁明の機会が与えられることなどを山根・前会長にぶつけたが、「何ですか、それ? 何も文書が届いていない段階で取材には応じまへん。いいかげんなこと書かれたら困りますねん」と、とりつくしまもなく、具体的な態度を明らかにはしなかった。 だが、連盟側は、そうした山根・前会長の反撃に備えた新たな準備も始めている。 「確固たる証拠が出れば法的手段に出る」と、戸田弁護士が、金銭不正による横領、背任での刑事告訴の準備があることを明らかにしたのだ。 第三者委員会の調査報告でも、不正の疑いのある使途不明な細かなお金のやりとりが見つかったが、板橋委員は「刑事告訴しなければならない、というまでの証拠、状況を見つけることはできなかった」という見解を示していた。 だが、戸田弁護士は「第三者委員会の報告をふまえた上で、現在、再調査している。確固たる証拠が出れば告訴はできる」という。 実は、スポーツ庁、JOCから水面下で打診されている連盟のガバナンスの改善、コンプライアンスの強化のための“指導”の中にも、「最悪、法的手段に打って出ることを視野に入れること」が含まれている。 連盟サイドが、第三者委員会の見解以上の手段に踏み込もうとしている背景には、そういう事情もある。 “ドン”山根・前会長の“影”を完全に消し去るためには、そこまでやる必要があるのかもしれない。今後、除名処分を巡ってまた騒動が再燃することもやむをえない。除名処分を正式決定する総会は来年2月に開かれ、その場で、山根・前会長の弁明内容を出席者に開示した上で決議される。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)