中国が台湾漁船を拿捕、船長ら5人連行 台湾支配の形骸化狙いか
台湾の海巡署(海上保安庁に相当)は2日夜、中国・福建省沖で操業していた台湾漁船が中国海警局の公船に拿捕(だほ)されたと発表した。台湾人船長ら5人は中国に連行された。台湾当局は中国側に対し、船長らを早期解放するよう求めている。 【写真】これがモスク?加速する宗教施設の中国化 海巡署によると、2日午後8時過ぎ、台湾・澎湖諸島所属の漁船が福建省晋江市約11カイリ(約20キロ)沖合の中国領海内で操業していたところ、近づいてきた海警局の船2隻に臨検を受け、拿捕された。 海巡署などによると、漁船では台湾人、インドネシア人の乗組員計5人がイカを取っていた。通報を受けて駆けつけた海巡署公船が放送で漁船の解放を求めたが、中国側はこれに応じず、午後10時ごろに船長らを福建省の港に連行したという。中国は5月1日から一定期間、水産資源保護を理由にこの海域での操業を禁止しているが、台湾メディアによると、当時は周辺で数十隻の台湾漁船が操業していた。 中国海警局の報道官は3日の声明で、2日に台湾漁船1隻を違法操業の疑いで拿捕したことを認めた。漁船が休漁規定や操業方法、漁具に関するルールに違反し、「漁業資源や生態環境を破壊した」と主張した。 現場は、福建省沖に浮かぶ台湾の金門島からも近い。台湾当局は現場海域では「長く両岸(中台)の漁民がともに操業してきた」と説明している。 金門島周辺では今年3月以降、台湾が中国船の立ち入りを禁止・制限するよう設定した海域に、中国の海警局公船が侵入する事案がたびたび発生。中台間で緊張が高まっている。【台北・林哲平、北京・河津啓介】