「弥生時代がなかった北海道」特異な歴史を博物館が紹介
【北海道・札幌】4月18日にリニューアルオープンした北海道博物館(札幌市厚別区)。この北海道唯一の総合博物館をより深く知るために、前回は「北海アジアの地図上に向かい合う二頭の象が意味するもの」について紹介しました。今回は、日本の中でもオリジナル過ぎる歴史を持つ北海道の特異性に迫っていきます。 【写真】「マンモスとナウマン象」の2頭が向き合う展示の意味 北海道博物館のテーマは大きく5つに分かれていますが、その中で大きく歴史を扱っているのが「北海道120万年物語」と「アイヌ文化の世界」です。
北海道内陸部で海獣の化石
「北海道120万年物語」では、北海道の内陸部から見つかった海獣の化石などが展示されています。「ん? 内陸部で海獣?」と思った方も多いでしょう。実は北海道という場所は、もともと海中にあり、今の高い山々がいくつかの島のように海面から顔を出していた状態だったのです。なので、普通に海獣が泳いでいたというわけです。 「北方の海中生物というのは、寒さから身を守るために脂肪がたっぷりついています。そして、骨を重くすることで、ずっと海中にいられるような進化を遂げてきました。この場所では、海牛の骨の化石の重さを体感できますので、ぜひ持ってみてください」。そう説明するのは、今回の資料展示の責任者である堀繁久さん。実際に筆者も持ってみましたが、インタビューを記録したICレコーダーには「重っ!」という声しか入っていないほどの重みでした。 今回のリニューアルにあたって注意した点は、「子どもにも楽しんでもらえる展示」にするということ。確かに、至る所に子どもたちが楽しめる工夫がいっぱいで、説明文書にはすべて振り仮名が振ってあります。とはいえ、ここまで充実した展示だと、もちろん大人も楽しめるわけです。
アイヌ民族と和人との交流
その後、人類が登場するのですが、北海道という場所は縄文時代こそありましたが、弥生時代がなかった場所です。縄文時代のあとは、続縄文文化や擦文文化、そしてオホーツク文化というオホーツク海沿岸のみで栄えた特殊な文化も存在しました。 「北海道は寒すぎて米が作れなかった……それで弥生文化への移行が出来なかったのですが、他の文化が栄える中で鉄が使用されるなど、弥生文化の影響も受けています。ということは、その時代にすでに北海道と本州や外国との交流があったということでもあります」(堀さん)