Living in Sapporo《フランス人》ニコラさん後編 「都会の中の雪」財産
【北海道・札幌】200万人近い人口を抱える北海道の道庁所在地・札幌。「さっぽろ雪まつり」を代表とする世界規模のイベントも開催され、多くの観光客が訪れる街だ。そこで札幌に住んでいる外国人に「札幌の魅力」を聴く「Living in Sapporo」をスタート。第8回目後編では、フランスと北海道の文化交流を図る「札幌アリアンス・フランセーズ」院長のフランス人、ニコラ・ジェゴンデさんに札幌の魅力を聞いた。(インタビュー・構成/橋場了吾)
日本語がマスターできなかった自分が許せなかった
20年前に札幌に来た時から、「札幌アリアンス・フランセーズ」(以下SAF)でフランス語を教えています。この施設はフランス外務省がバックアップしているので、1~2年交代でフランスから講師がやって来るシステムになっています。 私もその一人として1年3か月の任期でやってきたのですが、情けないことに、その1年3か月で片言の日本語しかマスターできなかったんです(今のニコラさんは日本語堪能です)。それが自分自身許せなくて、まだ帰りたくないなと思っていました。 そんな中、SAFから「今講師が足りないから、もう少しいませんか」というお話をもらって日本に残ることになりました。で、気づいたら20年経って今年の2月には院長になっていました。
違う文化を知ることで、毎日が勉強になる
SAFではフランス語を教えるのと同時に、さまざまなイベントを行い生徒との交流を図っています。その中で一番面白いのは、違う文化を知ることができるということ。日本人の考え方を知ることで、フランスとはどういう国なのか?フランス人とはどういう人種なのか?を再認識できるんです。 例えば、日本人の中には「死ぬまでにモン・サン・ミッシェルをどうしても見たい」という熱い思いを持っている人がたくさんいます。確かにモン・サン・ミッシェルは素敵な場所ではあるのですが、私の中ではそこまでの熱い思いは湧きあがりません。逆に言うと、フランス人以外にはそこまで気持ちを惹きつける何かをモン・サン・ミッシェルが持っているということが勉強になるわけです。そういう意味での勉強が、この20年間毎日続いてきたように思います。