帰ってきた“10番”荒木遼太郎 代表合流前まで6戦5発「描いたシナリオ通りに」パリで輝く
男子のパリ五輪アジア最終予選を兼ねたU―23(23歳以下)アジア杯が15日からカタールで開幕する。スポーツ報知では、8大会連続五輪出場を目指す「大岩ジャパン」の各ポジションのキーマンを4回にわたり紹介。最終回は荒木遼太郎=FC東京=。 いるべき場所に、FW荒木遼太郎は戻ってきた。3月の活動で、大岩監督の初陣だった22年3月以来、約2年ぶりに五輪世代の代表に復帰し、3月25日のウクライナ戦(2〇0)で先発。無得点ながらチーム最多5本のシュートで存在感を示し、最終予選のメンバーに入った。厳しい戦いを前にしても「プレッシャーはあると思うけど、そういう試合ほど楽しみ」と頼もしい。 昨季まで在籍した鹿島では高卒2年目の21年、10代としては城彰二以来、史上2人目の2ケタ得点となる10得点でJ1ベストヤングプレーヤー賞を受賞。パリ五輪を目指す世代の「星」として期待された。だが「10番」を背負った22年は腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けるなど1得点、昨季はリーグで無得点。「試合に出て思い切りやりたい。プロサッカー選手の価値はピッチの中で示す」。選んだのはFC東京移籍だった。 「多くの人から復活と言われるけど23年シーズンは試合に出られていないだけ」。今季開幕前の言葉通り、新天地で本来得意とするトップ下、1トップで出場機会を得ると代表合流前まで6戦5発と水を得た魚のように躍動した。同時にパリ五輪への思いにも変化が表れ、開幕前は「まずは結果を残して…」と遠慮気味だったが、今は「活躍してメンバーに入りたいと思っていたのでシナリオ通り」と胸を張る。 ただ、この物語のゴールはまだ先にある。「パリの切符をつかめたら、本当に描いたシナリオ通りになる」。ピッチに立てば結果を出す自信はある。世代屈指のアタッカーが花の都への道を切り開く。(後藤 亮太)=おわり= 〇…FWは昨年のJ1で日本人2位タイ(全体5位タイ)の14得点を挙げ、A代表のアジア杯(1~2月)も経験した細谷真大(柏)が中心として期待される。またJ1で6戦5点の荒木だけではなく、7戦3点の藤尾翔太(町田)も好調を維持したまま大会に臨む。サプライズ選出されたチーム最年少19歳の筑波大2年、内野航太郎にも期待したい。 ◆荒木 遼太郎(あらき・りょうたろう)2002年1月29日、熊本県生まれ。22歳。FCドミンゴ鹿央、シャルムFC熊本、熊本ジュニアユース、東福岡高を経て、鹿島に入団。今季からFC東京に期限付き移籍。J1通算94試合18得点。右利き。170センチ、60キロ。
報知新聞社