アメリカ唯一の合法風俗で働く女性たち…「VIPルームで踊れば3000ドル」「ベッド下の鉄格子」の衝撃日常
日給が3000ドルになることも
その後、執行役員が声を掛けた女性たちが次々にロビーに表れ、ソファに腰掛けてインタビューに応じてくれた。一人目は、半年前に話を聞いたサミーという源氏名の小柄な女性だ。 前回、インタビューが終了した際、小走りに駆け寄ってきて、「この記事、私の写真が出るの?」と訊ねてきた。シングルマザーとして育てている4人の子供たちに、いかにしてカネを作っているのかは、伝えていないと話した。 「日本のメディアなら、大丈夫よね」と、呟くように漏らした一言が耳に残った。 半年前のインタビューで「幼い頃は医師になりたかった」と言った彼女だが、今回は「医師か、看護師になるのが夢だった」と、若干変化を交えて過去を語った。 「高校を卒業して、まずはコミュニティカレッジ(日本でいう2年制の短期大学)に入ったの。学費を稼ぐためにウエイトレスをしていた。時給は11ドルくらいだった。多少、チップをもらったけれどね。でも、そんな生活に疲れてしまって、退学したの。医療アシスタントや宇宙産業の会社勤務を経て、2021年の12月からラスベガスでストリッパーになった」 ストリッパーとして裸体を晒せば、一晩で400~800ドルほど稼げた。VIPルームで踊ることが許されるようになると、週末の日給は3000ドルに手が届いた。 「楽しかった部分もあるけれど、時間に追われて大変だった。結局4カ月勤めたけれど、より稼げるRanchのことを知り、2022年の2月からここで働いている。最初に面接に来た時は『怖い』って感じたんだけど(笑)。 でも働きやすい。もう2年半になるわ。エンジョイできるし、自分の時間があることが悦楽ね。精神的にゆとりを持って働きたいでしょう。今の収入には満足しているし、貯蓄もそこそこある」 学費が払えずに描いていた将来を諦めた彼女に、再び、医療現場に戻る気持ちは無いのか? と訊ねてみた。 「無いわね。看護師の仕事って長時間拘束される割に、おカネにならないじゃない」 かつてサミーが目指した職業は医師ではなく、看護師だった。 それでも彼女は看護師と今の仕事に共通点があると語る。後編『米合法風俗で働く女性が告白する…看護師を目指していた女性がストリッパーになった理由』では、サミーがRanchでの仕事の通じて感じる喜びについて焦点を当てる。
林 壮一(ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属)