台風10号 九州に上陸・本州縦断へ 総雨量2000ミリ超えか 甚大な災害のおそれ
記録的な大雨 長く続く
西日本から東日本の太平洋側では、台風に伴う暖かく湿った空気が流れ込み、雨が降り始めています。29日(木)から31日(土)にかけては、九州・四国を中心に大雨が続く予想です。大雨が長く続くことにより、河川の氾濫や土砂災害に厳重な警戒が必要です。
台風10号の特徴
今回の台風の特徴は、進む速度がゆっくりであることです。28日15時時点の台風進路情報では、29日(木)から30日(金)まで台風が九州を縦断する予想です。この影響で、特に九州南部や四国地方では、同じようなところで長時間にわたって雨が降り続くことが予想されています。台風が西日本から東日本にかけて縦断するような進路となった場合、九州南部や四国地方、近畿南部や東海地方といった普段から雨量が多いところであっても、これまでの観測最大値を上回るような記録的大雨となるおそれがあります。西日本から東日本の太平洋側を中心に、大河川も含めた多くの河川での氾濫、広域での土砂災害の多発に警戒が必要です。雨量が多くなる前からの早めの行動を心掛けてください。
総雨量2000ミリ超えも 記録的大雨エリアも前回予想より広がる
8月28日(水)~9月1日(日)までの積算雨量予測です。今回の台風第10号では、台風がほぼ停滞し降水量が多くなった場合の想定として、九州・四国・近畿南部と広い地域で1,000mm以上が予想され、特に四国地方の最も多いところでは2,000mmを超える可能性があります。 近年、降り始めからの雨量が2,000mmに達した事例として、平成23年台風第12号(紀伊半島大水害)があります。この台風では、8月30日から9月5日にかけて紀伊半島の南東部を中心に広い範囲で1,000mmを超え、一部の地域では2,000mmを超える記録的な大雨となりました。この台風により、奈良県、和歌山県、三重県をはじめ、全国で死者・行方不明者が98名となり、広い範囲で被害が生じました。とくに、降水量が多くなった奈良県、和歌山県では「深層崩壊」と呼ばれる大規模な土砂崩れが多発し、河道閉塞(土砂ダム)や道路の寸断が生じました。 今回の台風で大雨が予想されている九州南部や四国地方は、深層崩壊の頻度が高いと言われている地域に該当します。これらの地域では、降り始めからの総雨量が1,000mmを超えるおそれがあり、地すべりなどの大規模な土砂災害が発生する可能性があります。山間部を中心に、道路の寸断による集落の孤立や、河道閉塞による土砂ダムの形成などのおそれがあります。厳重に警戒してください。 台風の進路予報にはまだ幅があります。台風の進路によっては雨量の予測が大きく変化する可能性がありますので、最新の気象情報を確認してください。
日本気象協会 本社 福冨 里香