髪型をきっかけにだんだん気になって…豊林サカネさんの『ポニテに揺れる』が話題

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は豊林サカネさんの『ポニテに揺れる』(小学館)をピックアップ。 【漫画】まさに初恋の“あの感覚”…！互いを意識しはじめた2人のその後が「エモい」「最高すぎる」と話題 週刊少年サンデー(2023年4/19号)に過去掲載された読み切りで、同級生の“ポニーテール”の髪型に惹かれる男子中学生の淡い恋物語を描き話題に。8月15日に作者がX(旧Twitter)に投稿すると、そのピュアな展開に13万以上の「いいね」が寄せられ大反響を呼んだ。この記事では作者である豊林サカネさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。 ■ポニーテールが綺麗なあの子は誰？“初恋”を思い起こさせる初々しい展開に反響続々 中学生2年生の和原はある日、学校の廊下で同級生女子のひとつ結びの髪型を見て一目で魅了される。クラスメイトの友人にそれを“ポニーテール”と呼ぶことを教わった和原だが、その子が何組の誰なのかはわからずにいた。 しばらくして、再び廊下で同じポニーテールの子を見かける和原。友人たちと追いかけると5組の“相馬みどり”であることが判明する。相馬のポニーテール姿を見て嬉しそうな和原を「好きなんでしょ？」「好きなタイプ聞いておこうか？」と囃し立てる友人たち。しかし、和原は「別に付き合いたいとかそういうんじゃない」「リスペクトしてるだけ」と言うも、自分自身でもまだ相馬に対する感情がよく分かっていなかった。 そんな中、和原は授業の合間にいきなり相馬とその友達2人に中庭に来るように誘い出される。中庭に着くと、友達から突然「みどりのこと好きって聞いたんだけど本当？」と尋ねられる。噂が一人歩きしていることに困惑する中、その後も一方的に相馬への告白を催促された和原は、焦りながらも“誤解”だと正直に告げることに。すると、ずっと恥ずかしそうにしていた相馬はその言葉を聞き「やっぱ勘違いじゃん…」「変な噂流さないでよ」と言いながら泣き出してしまう。 その場を立ち去ろうとする相馬の後ろ姿に、和原は髪型を褒めていたのは本当だと伝え「俺のせいでポニーテールやめないで」と言葉をかけるが…。 同級生のポニーテール姿に魅了されたことをきっかけに、だんだんと心も惹かれていく男子中学生の恋物語に大きな反響が寄せられている本作。X(旧Twitter)上では「なんて素敵な作品なんだ」「恋しはじめたときのあの感じを思い出す」「終わり方がめちゃくちゃ良すぎるぅ」「甘酸っぱい～!!」「最高すぎる」「エモい」「ポニーテールは正義」などのコメントが寄せられ、話題を集めている。 ■「物語の先のふたりを読者に想像してもらいたい」作者・豊林サカネさんが語る創作の背景とこだわり ――『ポニテに揺れる』を創作したきっかけや理由があれば教えて下さい。 単純に私の好きな髪型のひとつがポニーテールだからです！ ポニーテール禁止、なんて校則も存在するらしいですが、決して劣情だけがこめられたものでは無いのに…！という悔しさが原動力となり創作に至りました。 ――和原と相馬さん、それぞれのキャラクターはどのように生み出されたのでしょうか？ お話の流れが決まるのに則して二人のキャラクターも固まっていきました。 後腐れない関係を見せたかったので、中学生らしさの中に思慮深さを併せ持ったふたりになったと思います。 ――本作をX(旧Twitter)に投稿後、13万を超える「いいね」が寄せられ大きな話題となっています。今回の反響について、豊林サカネさんの率直なご感想をお聞かせ下さい。 素直に嬉しかったです。 これだけ反響が大きいと、今後描くものに対してプレッシャーになるんじゃないか？と父には心配されたのですが…。この漫画をきっかけに私の創作活動を応援してくださる方が増えたことはポジティブに捉えておきたいです。 印象的だったコメントとして、中盤の告白呼び出しの展開がつらいけど、それを踏まえても最後の展開は良かった、というのは多かったです。大人になっても思い起こされるあの苦い記憶を甘酸っぱさに昇華できているなら、本望です。 ――本作では、和原の相馬さんに対する感情が徐々に変化していく様が繊細に描かれていて印象的でした。本作を描くうえでこだわった点や「ここを見てほしい」というポイントがありましたら教えてください。 相馬さんの髪の作画に気合を入れたのはもちろんですが、学校の教室や廊下にそれぞれ人がいる雰囲気を描くのが好きなので、終盤、国語の授業を受けて相馬さんのことをぼんやり考えている和原くんの学校生活がただいつも通り流れていく様子を周囲の生徒たちによって表現しました。 そんな中、昇降口で髪を下ろした相馬さんを和原くんと同じ視点で眺めるコマもこだわりました。 ――豊林さんは本作以外にも『僕の、幼馴染。』や『おいしい帰り道』(いずれも小学館)など恋愛感情“だけじゃない”10代男女の様々な関係性を多く描いていらっしゃいますが、その理由とあわせて創作全般においてのこだわりや特に意識している点がありましたら教えてください。 恋愛関係を確定させない展開は、物語の先のふたりを読者に想像してもらう余韻になると思うのですが、個人的に読み切り漫画として提供したい味がそれなんです。そこに10代、特に中学生の単純さや一歩踏み出せない未熟さがあることで甘酸っぱくてどこか懐かしい漫画になっていると思います。 その味を読み切りでなく連載でやるとしたら…というのが今の大きな課題です。 ――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。 長く豊林を応援してくださってる方も、最近知った方も、SNSでの反応やメッセージなど本当に励みになっています！ 今後は作風を広げるという意味でも様々な関係性に挑戦しようと思っているので長い目で応援していただけると嬉しいです…！