子育て世代で進む〝脱東京〟首都圏の新築マンション価格、過去最高を更新 神奈川・埼玉・千葉に1万5千人流出
不動産経済研究所が18日発表した2023年度の首都圏(1都3県)の新築マンション1戸当たりの平均価格は、前年度比9・5%上昇の7566万円となり、3年連続で過去最高を更新した。東京23区では5・7%上昇の1億464万円に達し、年度として初めて1億円を超えた。 【表でみる】「住みたい街ランキング」と「住みここちランキング」トップ20 23区を除く東京が3・0%上昇の5375万円。神奈川が12・6%上昇の6145万円、埼玉が4・8%下落の4890万円、千葉が11・9%上昇の5067万円だった。 発売戸数は6・4%減の2万6798戸。事業者が高額でも買い手が付く立地に絞り込んでいるため、1975年度以来、約50年ぶりの低い水準だった。 近畿2府4県の平均価格は前年度比5・5%上昇の4935万円だった。4年連続の値上がりで、1991年度以来、32年ぶりの高値。大阪や京都の中心部で高級物件の発売が相次ぎ、人件費や資材費、地価の高騰も影響した。発売戸数は8・5%減の1万5788戸だった。 一方、リクルートがまとめた首都圏の新築マンション契約動向によると、東京23区に暮らす人が近年購入した物件の「脱東京」傾向が著しい。 23年に23区内の物件を買った割合は66・6%で、18年の73・8%から低下。一方で神奈川、埼玉、千葉3県のマンションを選んだ割合は18年の18・3%から、23年には27・2%へと上昇した。住宅情報サイトSUUMOの柿崎隆副編集長は「都心部を中心とした物件の価格上昇で、購入検討エリアを広げる動きが目立っている」と話す。 内閣府の分析では、子育て世代が都外へ移住する傾向が見られた。東京都と3県の間で起きた人口移動を調べた結果、25~44歳では22年に約1万5000人が東京から3県に流出した。内閣府は「子育て世代が住宅価格や賃料の低い首都圏近郊へ向かっている」と読み解いている。