飯島栄治八段の解説 藤井棋聖の21歳11カ月での永世称号、破られない大記録
将棋の藤井聡太棋聖(21)=竜王・名人・王位・王座・棋王・王将との7冠=が1日、名古屋市中区の「亀岳林 万松寺」で指されたヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負(主催・産経新聞社など、特別協賛・ヒューリック)の第3局で先手の山崎隆之八段(43)を100手で下し3連勝。5連覇を達成し、タイトル戦の永世称号資格獲得の史上最年少記録となる21歳11カ月で「永世棋聖」(通算5期)の資格を獲得した。「すごくないですか」の名フレーズで知られる飯島栄治八段(44)が解説する。 【写真】日本酒を飲んだ藤井聡太氏「すごく辛くてびっくり」 藤井棋聖が永世棋聖になる記念のシリーズとなった。21歳11カ月での永世称号資格獲得は100年は破られないと断言する。私たちが生きているうちに、誰が塗り替えられるのか。ウサイン・ボルトの陸上100メートルの世界記録9秒58のような大記録、すごくないですか。 定跡にとらわれず、形勢不利から逆転勝利する〝ちょいワル逆転術〟の山崎八段につけ入る隙を与えないシリーズだった。第3局は先手の山崎八段が得意の相掛かりを採用し、角道を開ける▲6六歩から一転して角道を閉じた▲6五歩が意表を突く手。藤井棋聖がとがめにいった。△2五飛は飛車がタテでにらみ合い、激戦に。叡王戦最終局に敗れて、失冠後初の対局だったが、敗戦をカバーするような指し回し。切り替えの早さ、回復力は尋常ではない。 43歳の山崎八段の同世代棋士としては、21歳の藤井棋聖に一矢報いる姿を見たかったのも正直なところ。山崎八段は開幕前に冗談か本音か「最後のタイトル戦」と言っていたが、そんなことは言わないでほしい。再び挑戦して奪取したら、すごくないですか。