「私がお腹に手を触れるだけで妊娠」…天主教教会信者から16億ウォンを騙し取っていた70代=韓国
◇全州地方法院、詐欺疑惑で懲役10年を宣告 自身を神格化して治癒能力があると偽り、天主教の教会信者10人余りに9年間で16億ウォン(約1億7750万円)を騙し取っていた70代の似非宗教家に重刑が言い渡された。 全州(チョンジュ)地方法院(地裁)刑事6単独キム・ソヨン判事は20日、「詐欺疑惑で起訴されたA被告(70・女)に懲役10年を宣告した」と明らかにした。A被告は2014年7月~2022年4月、自身が主催した私的祈祷会に参加したBさんら教会信者14人に別名「贖罪記念品」の名目で1万113回にわたって本人や息子口座などで16億7200万ウォン余りを受け取った容疑で起訴された。 検察によると、A被告はBさんらに自身をイエスになぞらえながら「神から特別な霊的能力を受けた人間」と紹介した。この過程でA被告は「あなたが犯した罪で身体が不調で良くないことが起こるので、先祖の罪まで贖罪しなければ子孫にまで良くないことが起こる」とし「贖罪記念品を捧げれば不調と困難を解決することができる」とうそをついた。A被告はこのような形で被害者から騙し取ったお金を生活費などに使った。 A被告は裁判の間、一貫して「被害者に不幸を告知したり祈祷を通した結果を約束したりしたことはなく、私が神霊な能力や特別な資格を与えられたと話した事実はない」と主張した。あわせて「祈る人々が自発的に奉献した」とし「むしろ祈る心が重要なのであり、奉献回数や金額は重要ではないと話した」と抗弁した。 ◇「被害者の切迫した状態を利用」 しかし裁判所はA被告の主張を受け入れなかった。2014~2021年A被告が祈祷会で行ったスピーチや電話の音声ファイルなどを根拠とした。 この音声ファイルにはA被告が「私を信じなければ精霊冒涜(ぼうとく)で永遠に救済を受けることはできない」「私は胃がん・子宮がん末期患者だったが神の御心で特別な治療をせずとも回復した」「病院に入院した時、医師が治療できない病気を診断して患者が『神様を見た』として私に治癒をお願いした」「私がお腹に手を触れるだけで妊娠することができる」などと話す内容が含まれていた。この中にはA被告が自分の家にあるイエスの絵にコロナウイルスの聖血(イエスの血痕)のしるしがあり、コロナ禍事態を予想したという発言も含まれた。 被害者の相当数は自身や家族が躁うつ病・うつ病など精神病をはじめ脳腫瘍・聴覚障害など現代医学では完治しにくい病気を患っていたことが分かった。一部は1997年国際通貨基金(IMF)救済金融事態で配偶者の事業が破産して経済的困難を強いられていたという。 被害者は他の教会信者の紹介でA被告の祈祷会に参加した。その後、A被告が他の人を治したという奇跡的な事例を話し、人々に按手をすると皆同じように「アーメン」と話す雰囲気なのでA被告をより深く信じることになったと検察は伝えた。按手は祈りを捧げるときに聖職者などが信者の頭上に手をのせることをいう。 調査の結果、A被告は1983年8月聖堂で洗礼を受けて約40年間平凡な教会信者として活動した。天主教で専門的な教育・修練を受けたことがなかった。問題になると天主教全州教区は昨年5月A被告を破門にした。 裁判部は「被告人は自身に治癒能力がないことを知りながらも、被害者の切迫した状態を利用するなど犯行の手口が悪質的」としながら「それでも被告人は客観的な証拠で確認される事実関係まで否認するうえに過ちを反省していない点、被害復旧のために何の措置も取らない点などを考慮して刑を決めた」と明らかにした。