大物ポドルスキがなぜJリーグに? その背景にあるもの
2014年のW杯ブラジル大会を制したドイツ代表で「10番」を背負い、同代表で歴代3位となる国際Aマッチ通算48ゴールをあげたFWルーカス・ポドルスキ(31)が、J1のヴィッセル神戸に完全移籍することが決まった。 所属するガラタサライ(トルコ)との交渉は一時凍結状態にあったが、2月下旬になって急展開。詳細は明らかにされていないが、日本円にして移籍金約3億円、年俸約6億円の3年契約でまとまった。 Jリーグにとっては、2014シーズンにセレッソ大阪入りした元ウルグアイ代表で、現在はインドでプレーするFWディエゴ・フォルラン以来となるビッグネームの加入。しかも、すでに開幕した2017シーズンの陣容を見ると、ヴィッセルに限らず、選手の移籍が過去に例を見ないほど活発化している。 たとえばFC東京はFW大久保嘉人(川崎フロンターレ)を筆頭に、日本代表経験者5人を補強。さらに開幕戦を終えた直後には元ナイジェリア代表で、昨シーズンの得点王ピーター・ウタカをサンフレッチェ広島から期限付き移籍で獲得した。 昨シーズンのJ1と天皇杯の二冠を獲得した鹿島アントラーズも、J1で十分な実績のある外国人、MFレオ・シルバ(アルビレックス新潟)とFWペドロ・ジュニオール(ヴィッセル)、さらにはACL王者の全北現代から韓国代表歴をもつGKクォン・スンテを獲得している。 タイトルを2つも獲得した既存の選手たちに満足せず、積極的に動いたオフの補強を、アントラーズの強化の最高責任者を務めて22年目になる生き字引的存在、鈴木満常務取締役強化部長は「多少無理をしてでも」と表現したことがある。 こうした考え方は、ヴィッセルやFC東京、イタリア代表の守護神ジャン・ルイジ・ブッフォンの獲得に動いたとされるサガン鳥栖にも当てはまる。背景にはイギリスの動画配信大手パフォーム・グループが提供するスポーツのライブストリーミングサービス『DAZN(ダ・ゾーン)』と締結した、10年総額約2100億円にのぼる大型放映権契約がある。 Jリーグは巨額の放映権料を原資として、今シーズンから均等分配金や各種賞金を増額している。前者は昨シーズンまでの1億8000万円が3億5000万円に、後者はJ1を制した場合の1億円が3億円にそれぞれアップ。そこへ新設の「理念強化配分金」が、順位に応じて支給されることも決まった。