<4人を刑事告発>岸田首相も裏金作りのためパー券収入隠しか 「438万円もの裏金は看過できない」と専門家
◆パーティ主催はダミーか 主催者と後援会代表は同一だった
「祝う会」の主催団体は「合同任意団体」となっているが、その代表である伊藤氏は「岸田文雄後援会」の代表でもある。「祝う会」の連絡先として、「後援会」の事務担当者の氏名(昨年12月死去)と「後援会」の電話番号が明記されていた。つまり事実上の主催団体は「後援会」だったといえる。いうならば「祝う会」はダミー団体のようなものである。 そのため、本来は「後援会」の収支報告書にパーティの収支を記載する義務があった。それにもかかわらず、記載しなかったのは規正法違反の不記載罪に当たるとして、「後援会」の代表だけでなく会計責任者、事実上の代表である岸田首相も刑事告発されたのである。
◆438万円もの裏金は看過できない
岸田首相らを刑事告発した上脇博之神戸学院大学教授は次のように話す。 「岸田首相は『祝う会』がそもそも政治資金パーティではないと説明していますが、会費1万円で飲食なしであれば黒字になることは明らかでした。現に『第一支部』に約322万円もの寄附をしていました。収入も1000万円未満だったと説明していますが、1100人が参加していたと報道されており、少なくとも1000万円を超える収入があったのですから『特定パーティ』でもあったはず」 「祝う会」が政治資金パーティだったことを上脇教授は強調し、刑事告発の理由を説明する。 「したがって、『祝う会』の主催者が『合同任意団体』であっても規正法違反だし、『後援会』であっても規正法違反になります。いずれにせよ、少なくとも約438万円の裏金がつくられていたことになるので、看過できないと判断し告発しました」
◆岸田首相個人の裏金作りだ
岸田首相は先日国会で行われた政治倫理審査会において、「自民党改革、政治改革の先頭に立ってこの改革を進めていく覚悟」と宣言した。しかし、自身の裏金疑惑を晴らさなくては政治改革の先頭には立てないだろう。 自民党の政治刷新会議は、派閥の政治資金パーティを禁止する方向性を示しているが、個人のパーティは継続する方針だ。岸田首相自身が裏金疑惑を晴らせないのであれば、こうした刷新会議の案自体が政治的なパフォーマンスと言われても仕方ない。 ■ 鈴木祐太 (すずきゆうた) 1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。
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