村上春樹「日本語に訳すのがとても難しいタイトル」と語る小洒落たジャズソングとは?
◆Diana Krall「The Night We Called It A Day」
次は「The Night We Called It A Day」、これもいかにも都会風、小洒落(こじゃれ)た歌です。1941年にフランク・シナトラが歌ってヒットしました。この年にはドーシー楽団は、マット・デニスの提供した曲を14曲もレコーディングしています。デニスさん、絶好調だったんですね。 シナトラはドーシー楽団でもこれを歌っていますが、それとは別に自己名義の録音も残していて、これがシナトラにとっての記念すべき初ソロ・レコーディングになっています。 この「The Night We Called It A Day」というタイトルは日本語に訳すのがとても難しいです。“call it a day”というのは英語の慣用句で、「もうおしまいにする」「ここらで切り上げる」という意味なんです。だから正確に訳すと「これでもうおしまいにしようと僕らが言った夜」ということになります。Night(夜)とDay(昼)、言葉をひっかけた遊びなんですね。 ダイアナ・クラールがピアノの弾き語りで歌います。そういえば彼女も弾き語りの名手ですね。 (TOKYO FM「村上RADIO~マット・デニス・ソングブック~」2024年5月26日(日)放送より)
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