伝統野菜「仙台白菜」誕生100年…塩害に強く復興のシンボル、生産農家「全国に知らしめたい」
大友さんは弟と友人とともに、同区を中心に約7ヘクタールの畑で枝豆やブロッコリーなどを生産する中、冬場の収入源となる地元ゆかりの野菜を探していた。目を付けたのが仙台白菜だった。
初めて食べた時の衝撃は今も忘れない。「柔らかくて、めちゃくちゃおいしかった。栽培されていないのはもったいない、伝統を引き継ぎたい、と強く思った」
栽培は「壁」の連続だった。まずは種まき。農業用の種子はまきやすいようにコーティングされ、5ミリ程度の大粒になっていることが多い。だが、生産量の少ない仙台白菜は加工された種子がなく、1ミリ程度の種を扱わなくてはならない。小さな種子もまけるように機械を改造した。
生育不良にも直面した。約1割が病気にかかり、葉が枯れた。風通しのよい潮風が当たる場所を選び、水はけをよくするために畝を通常より10センチほど高くした。
手塩にかけて育てた仙台白菜は今月中旬から出荷が始まった。大友さんは「今年は市内、来年以降は東京にも出荷したい。そして10年後には全国に仙台白菜の名を知れ渡らせたい」と力を込める。
「仙台白菜を味わう会」が25日午後5時から、石巻市蛇田の「スパイスガーデン」で開かれる。「仙台白菜松島純二号を守る会」の主催。県産銀ザケのミルフィーユ鍋などを提供する。30食限定で会費500円。白菜の予約販売も実施。問い合わせは「守る会」の星昭一代表(090・8612・8315)へ。