日本発の金魚アート展覧会、台湾で開催 動物愛護団体が抗議 主催者「魚の健康確保」
(台北中央社)台北で来月下旬に開幕する金魚アートの展覧会「アートアクアリウム」を巡り、魚を傷つける恐れがあるとして台湾の動物愛護団体から中止を求める声が上がっている。主催者は28日、専門家による顧問チームをすでに結成しているとし、準備から展示までの全ての期間において定期的に金魚の健康状態を点検し、魚の快適な環境と健康を確保すると説明した。 アートアクアリウムは光や音、香りによって金魚が泳ぐ水槽を彩る展示で、東京・銀座に常設の美術館を置く。累計来場者数は過去の展覧会も含め、延べ1200万人を超える。台湾での展覧会は初。11月25日から来年5月31日まで半年間にわたって展示が行われる予定。 動物愛護団体、台湾防止動物虐待協会(台湾SPCA)の姜怡如執行長(CEO)は中央社の取材に対し、同展は強い光の変化や音楽を用いた展示を行うことから、日本でも批判を浴びていたと指摘。水産獣医師の潘世瑩さんの話として、日本での展示では過密状態で金魚を飼育することで、大量の金魚が水面に浮くなどの精神的異常が見られていたことを紹介した。 また、一般市民からの連絡を受け、主催者側の展示許可について台北市動物保護処に問い合わせたところ、今回の展覧会で使用される水槽は、無許可での展示が認められている大きさの範囲内だとみられることが分かったと説明。同処が主催者に対し、動物愛護関連の抗議が非常に深刻になる恐れがあると伝え、中止や偽物の魚を使用するよう助言したものの、主催者からは予定通り実施する意向が示されたという。 主催者は28日の声明で、同展覧会では金魚の福祉を非常に重視していると説明。水景の空間デザインの専門家や魚の健康管理に関する専門家、獣医師、学者を顧問チームに招き、共に管理、指導していくとした。 また、水槽の中の金魚の密度や光、水質の管理についても、金魚の健康を守るための対策を示した。 主催者は、展覧会は台湾の法の規定を満たしているとしつつ、動物の福祉の基準に合致させるため、自発的にさらなる措置を講じていく方針を示した。 (王宝児/編集:名切千絵)