ベビーシッター「マッチングサイト」の実情は? なぜ必要とされるのか
埼玉県富士見市の自宅マンション内で、預かった山田流琥(りく)ちゃん(2)が亡くなっていたのに放置させていたとして、ベビーシッターの物袋(もって)勇治容疑者(26)が逮捕された事件がありました。同容疑者が利用していたのがベビーシッターのマッチングサイト。実情はどうなのか。サイト管理人が取材に応じました。
サイト管理人に聞く
ベビーシッターのマッチングサイトは、子どもを預けたい利用者と、ベビーシッター側をつなぐものです。会員登録をすれば誰もが利用できますが、その際、身分確認を必要とはしません。資格の有無は問われますが、必須条件ではありません。匿名でも登録ができます。物袋容疑者は複数のサイトに、複数の名前で登録していたといわれています。 物袋容疑者が利用していたのは「シッターズネット」で、会員登録は無料です。同サイトは現在は閉鎖されています。開設は6年前。きっかけは管理者自身の体験でした。 「会社を起業直後であまり家に帰れない状態でした。妻の実家が地方で、育児中は美容室に行く時間すらまともに取れません。また周囲のお母さんからも、『保育園が終わってから子どもを2時間預かってくれたら普通に働けるのに』という悩みを数多く聞きました」
待機児童の問題なども背景に
マッチングサービスが必要となる背景には多様な保育ニーズがあります。その中には待機児童(入所申請をしているが、定員を超えてしまい、保育所に入所できない児童)の問題もあります。 流琥ちゃんは横浜市在住でしたが、たとえば、横浜市では13年4月には待機児童が一旦は「0」になりました。しかし申し込み者の増加とともに待機児童も増え、4月の入所段階で2953人となりました。昨年よりも653人増加。林文子市長が18日の定例記者会見で明らかにしました。 もちろん、横浜市では「横浜子育てサポートシステム」、「一時保育」、「休日保育」、「24時間型緊急一時保育サービス」など多様なサービスがあります。しかし、受け入れの人数や利用時間に制限があるものもあります。周知が徹底されていないばかりか、利用者すべてのニーズには応えられません。 また、すぐに見つけたい利用者はネットで検索するでしょうが、公的サービスは見つけにくいとも言われています。例えば「横浜 緊急 保育」のキーワードで入力すると、「24時間型緊急一時保育サービス」が見つけられます。しかしベビーシッターを求める利用者はそうした検索はしないようです。 サイト管理人によると、同サイトにアクセスする検索キーワード上位は、「ベビーシッター」に合わせて、「個人」「マッチング」「募集」「登録」です。「保育」はないのです。イメージとしては、保育園に通わせること(通年保育)が「保育」であり、一時的なものは「ベビーシッター」なのかもしれません。