復縁を拒まれ… ベランダから転落した20歳女子大学生に馬乗り 包丁で胸を複数回刺し殺害か…男は起訴内容を認める 一方で弁護人は無罪主張「殺意も責任能力もなかった」大阪地裁堺支部
2022年に大阪府堺市西区で、当時20歳の女子大学生が刺殺された事件。1月29日の初公判で、被告の男は起訴事実を認めましたが、弁護人は「殺意も責任能力もなかった」として無罪を主張しました。
ベランダから転落し倒れていた被害者に馬乗り 胸を複数回刺す…
山本巧次郎被告(24)は2022年8月、堺市西区で大学生の大田夏瑚さん(当時20)を包丁で刺し、殺害したなどの罪に問われています。 大田さんはマンション4階の自宅で、山本被告から刃体の長さ約15cmの文化包丁で、両脚を切りつけられたり脇腹を刺されたりし、逃げようとしてベランダから転落。 山本被告も階段を駆け下りてマンション前の路上に。あおむけの状態で倒れていた大田さんに馬乗りになり、胸を複数回刺したとみられています。
被告「僕のしたことは間違いない」弁護人は「殺意も責任能力もなかった」と無罪を主張
1月29日、大阪地裁堺支部での初公判で山本被告は「今は覚えていないが、僕のしたことは間違いないです」と起訴事実を認めました。 一方で弁護人は、「当時、被告は『非定型精神病』を発症し、善悪の判断などができない状態だった。殺意も責任能力もなかった」と無罪を主張しました。 弁護人は具体的には、 ▽事件前、山本被告は教員採用試験のプレッシャーで精神的に不安定な状態だった ▽そうした中、大田さんが別の男性と関係を持ったことがわかり、交際を解消した ▽被告はこの頃から、「試験の前に浮気をするなんて、自分を自殺に追い込んでいるのではないか」などの被害妄想に侵されるようになった ▽事件の日に大田さんの自宅に行ったのは、置いていた自らのスーツを取りに行くためだった ▽大田さん宅に着いてからの記憶が被告にはない と主張しています。
検察官「通報時や警察官が来た際に、殺害方法や経緯を被告自ら説明」
検察官も、大田さんが別の男性と関係を持ったことをきっかけに、山本被告と大田さんが交際を解消した点は争っていません。 そのうえで ▽大田さんに対し復縁を迫ったものの、断られた恨みから犯行に及んだ。強い殺意があり、確実に被害者を殺害できる行為に躊躇なく及んだ。精神疾患もなかった ▽実際に被告は、自ら110番通報した際や、現場に警察官が駆けつけた際に、殺害方法や殺害に至った経緯を説明した と主張しています。 判決は2月13日に言い渡される予定です。 (MBS大阪司法担当 松本陸)