上田麗奈、底知れぬポテンシャルを誇る“声の表現者”「コードギアス」シリーズの“正当な続編”でも存在感
「コードギアス」シリーズの“正当な続編”「コードギアス 奪還のロゼ」が全4幕形式で劇場上映されている(第1幕は5月10日、第2幕は6月7日、第3幕の上映が7月5日[金]、第4幕が8月2日[金]から公開)。同作は、2006年に放送開始したTVシリーズ「コードギアス 反逆のルルーシュ」から始まり、その続編「コードギアス 反逆のルルーシュR2」、新たな主人公アキトの活躍を描いた「コードギアス 亡国のアキト」、TVシリーズを再構成した「興道」「叛道」「皇道」の劇場総集編三部作とそこからつながる「コードギアス 復活のルルーシュ」…と、作り込まれた世界観と予想を裏切るストーリー展開で多くのファンを魅了し続けている「コードギアス」シリーズの最新作。前作から5年がたった合衆国日本・旧ホッカイドウブロックを舞台に、傭兵兄弟ロゼとアッシュがネオ・ブリタニア帝国に立ち向かう姿を描く。この作品で物語の鍵を握る存在となる、非常に複雑なバックグラウンドを持つ皇サクヤを演じているのが人気声優の上田麗奈だ。今回はそんな上田の魅力に迫る。 ■「第九回声優アワード」新人女優賞を受賞 高校生の時に声優を志し、2011年に現・所属事務所である「81プロデュース」による全国一般公開新人声優オーディション「第5回81オーディション」で特別賞・小学館賞をダブル受賞。ちなみに特別賞というのは準グランプリのことで、現在も同じ事務所で活躍する人気声優・高橋李依も同じ回に特別賞を受賞していた。 その後、上田は2014年にアニメ「ハナヤマタ」“よさこい部”の関谷なる役に抜てきされ、チーム“ハナヤマタ”の一員としてはオープニングテーマ「花ハ踊レヤいろはにほ」などを歌唱した。「第九回声優アワード」の新人女優賞を受賞したのは、この作品での快演が認められたのであろう。 以来、その声を聞かない時はないのではないかと言いたくなるほどの売れっ子となり、「アイドルマスター ミリオンライブ!」の高坂海美役、「鬼滅の刃」の栗花落カナヲ役、「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」のギギ・アンダルシア役、「ポケットモンスター サン&ムーン」のマオ役、「SSSS.GRIDMAN」の新条アカネ役、「わたしの幸せな結婚」の斎森美世役、さらに驚くほど多くのキャラクターを演じ分けた「てさぐれ!部活もの」など数えきれない作品が、ファンの心に刻まれているはずだ。2021年には「第十五回声優アワード」の助演女優賞にも輝いている。 ■アーティストとしても底知れぬポテンシャル また2016年からは、アーティスト活動も並行して行っている。筆者が上田の名を強く頭に刻み込んだのは、アニメの役ではなく楽曲が先だった。ファーストアルバム『Empathy』はカラフルな歌声が、入念なサウンドプロダクションで飛び跳ねていて、声の表現者として底知れぬポテンシャルを感じた。 セカンドアルバム『Nebula』にも心を打たれた。しっとりした歌声、言葉への心遣いが伝わる丁寧な発音が、ストリングスやアコースティックピアノを生かした伴奏と快く調和していて、“ここぞ”という時に登場する一人多重コーラスも素晴らしい。 アレンジャー(楽曲の、歌詞とメロディー以外を担当する職人)の力の入れようも尋常ではないように感じられて、なんというのだろう、スタッフが一丸となって歌手・上田の魅力も大きく打ち出していこうという意欲が作品にある。 そんな上田の声のポテンシャルがふんだんに生かされた「コードギアス 奪還のロゼ」は、光和7年、ネオ・ブリタニア帝国に占領された合衆国日本・旧ホッカイドウブロックに、「ナナシの傭兵」として知られる傭兵兄弟がいた。非常に優れた運動能力とナイトメアフレームの高い操縦技術を持つ兄のアッシュ、頭脳明晰で情報収集、作戦指揮を担当している弟のロゼ。 シトゥンペバリアと呼ばれる難攻不落のエネルギー障壁により4年間、黒の騎士団の解放作戦を退けてきた第100代皇帝カリス・アル・ブリタニアと、彼に仕えるノーランドら皇帝直属の騎士アインベルク達は、再び世界を混乱へと陥れようとしていた。依頼を受けたロゼとアッシュは、日本人レジスタンスの七煌星団と共に、皇サクヤ奪還のため、ネオ・ブリタニア帝国に立ち向かう――という物語。 ディズニープラスのスターでは、6月21日(金)から全12話のシリーズ作品として毎週1話ずつ配信される。 ◆文=原田和典