「障害への配慮」の考え方変わる企業 法律で「合理的配慮」義務づけ
■「個別」から「誰でも」へ
誰もが使いやすいものづくりというアクセシビリティーの考え方は、「ソニー・太陽」が行ってきた「一人一人に合わせたカスタマイズ方式」にも変化をもたらしています。 工場の設立当時は、ベルトコンベヤーで部品が流れてきて共同で作業を行う方式でした。しかし、障害の個人差が大きく、コンベヤーの高さが合わない、作業スピードが合わないなどで共同作業は難しく、効率が悪かったといいます。 そこで、2000年代にはコンベヤーを廃止。カスタマイズされた各自の作業ブースで、一人で全工程を受け持ち、製品を完成させる方式に切り替えました。これにより作業効率も責任感も大幅にアップしました。 そして20年後の今。作業台は高さ調節が簡単にできるものに、作業台の上のレイアウトも可変式になりました。障害の有無、身長の高低、利き手などにかかわらず、作業しやすい工場に変わってきたのです。 人事担当者によると、「一人一人の要望を聞き、障害の特性に合わせた作業場の開発を突き詰めた結果、誰でも使いやすい作業台に行き着いた」といいます。 障害のある人たちへの「配慮」だったはずが、結局はすべての人への配慮につながる--。こうした「インクルーシブデザイン」の製品やサービスが広がっていくことが期待されます。