串田アキラ、ギャバンを歌ってようやくわかった「カッコよく歌うこと」
今までになかったヒーロー、ギャバンはフランスでもヒット
以降、ヒーローソングの歌い方をマスターし、代表作となったギャバンとの出会いの衝撃を串田はこう語る。 「今までにないヒーロー、メタルの感じがすごかった。一条寺烈役の大葉健二さんの目ぢからにも圧倒されました。この作品はきっとこれからもずっと残るものになるなと感じました」 その後、宇宙刑事は「シャリバン」「シャイダー」とシリーズ化され、海外ではフランスでも放映された。映画『ロボコップ』にも多大なインスピレーションを与えたとも言われる。 「フランスで“ギャバン”は日本で言う“鈴木さん”“田中さん”という感じの名前だそうです。ヒーローなので、現地ではもう少し強そうなイメージとして“X-OR(エクソワール)”って名前に変えられていました。歌もフランス版が作られて放送されていたようですが、フランスの方も僕が歌ったギャバンのほうがいいと言って聴いてくれていたようです」
YOFFYと結成したユニット「激突兄弟」でギャバン最新作を熱く歌う
東映が手がけるヒーローたちがチームを結成する新シリーズ『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』が6月17日に公開を控えている。同作の主題歌を串田がYOFFYと結成したユニット「激突兄弟」が担当。それぞれのテレビシリーズの主題歌を担当した二人が、タイトルにある「VS」感を十二分に発揮して歌い上げている。 「年の離れた兄弟ですかね(笑)。ハモりもありながら、お互いメロを歌い、どっちのソロともいえる曲となっています。そういう意味でVS感、激突感がある曲です」
2019年はデビュー50周年 ベストな声を保つためのトレーニングも
串田は2019年にデビュー50周年を迎える。2年先だが、周年ライブのためにファンを驚かせるような企画も考案中だという。そして日頃から、ファンが期待するライブを届けるため、ステージを息を切らさず走り回り、鍛え抜かれた腕を高く振り上げながら、ファンと一緒に熱唱できるよう、日ごろからのトレーニングも欠かせないという。 「『キン肉マン』とか『トリコ』とかを歌っているでしょ。体がポヨッとしていたらいけないと思いまして、ちょっと鍛えています」 しかし一時、体力づくりにと始めたランニングをストイックにやりすぎて、体重を10キロ近く落としてしまい、串田の代名詞の太くて強い声が出せなくなったこともあるという。 「歌には腹筋が必要とはよく言われますが、ある程度の体重も必要。オペラ歌手なんか体が大きいでしょう。体の中で音を共鳴させていい声が出るようにしているのだと思います。僕の場合は、体を軽くしすぎてしまうとヘリウムを吸ったときのような感覚の声になる。それを避けるため、筋肉をつけるようにしています。年齢とともに声が変わっていくのは仕方のないこと。それでも、何十年も聴いてくださっているファンの方がのために、イメージを変えないよう声を保とうと努力しています」 また、串田の場合、ベストな声を保つためには、ケアよりも逆に喉に負荷をかけるのがいいという。 「練習スタジオに入って、持ち歌を3時間思いっきり歌い続ける。自分なりのトレーニングを積み重ねて、常にベストな状態を保っています。もし1カ月やらないと取り戻すのに、3カ月必要になる。だから、ライブがだいぶ先でも、こうして歌い続けることで鍛えています」 ヒーローソングの歌手というよりも、バンドマンのようなイメージ。穏やかな口調と時折見せる優しさをたたえた笑顔。ヒーローの強さを伝えるためには優しさが不可欠であることがよく理解できた。
■串田アキラ(くしだあきら) 神奈川県横浜市出身。1969年「からっぽの青春/サムじいさん」で東芝エクスプレスよりデビュー、 NHK「ステージ101」に出演。以後、特撮・ヒーロー、アニメソングを中心にCMソング、ゲームソフトのテーマなどで活躍。代表曲に「太陽戦隊サンバルカン」「宇宙刑事ギャバン」「キン肉マンGo Fight!」などがある。6月14日発売の『スペース・スクワッド ギャバンvsデカレンジャー& 東映ヒーロー SONG COLLECTION』(日本コロムビア)では新曲のほか、宇宙刑事シリーズのテレビサイズ主題歌などが収録されている。