【ミャンマー】国勢調査実施で号令、総司令官「選挙へ」
ミャンマー軍事政権トップのミンアウンフライン総司令官は最大都市ヤンゴンで1日、10月に予定する国勢調査を実施するよう政府機関の職員らに号令を発した。同日に配信したビデオ演説で、「選挙の実施が軍政の最終目標だ」と表明。国民に対しては、調査が経済発展の礎になると強調して協力を呼びかけた。 「強い経済が政治の安定と平和につながり、市民は繁栄のための責任を負う」 各地域・州の首相らが出席した会合では、このように主張した。同国では独立時から紛争が絶えず、地域・民族間の経済格差が火種の一つとなり続けてきた。ミンアウンフライン氏は、衣食住を安定的に提供することで、政治も安定に向かうとの見方を示した。 ビデオ演説では、同氏が議長を務める最高意思決定機関「国家統治評議会(SAC)」の最終目標が「自由で公正な選挙の実施」だと主張。国勢調査は国家のインフラ開発や企業の投資に役立ち、正確な有権者リストを作成することで選挙につなげることができると訴えた。 国勢調査は10月1~15日に実施する予定。選挙の具体的な日程は明らかにしていないが、来年の実施を視野に入れているもようだ。 ただ、事実上の内戦状態に陥る中、選挙が混迷からの脱出につながるかどうかは不透明だ。少数民族武装勢力に対して国軍が劣勢となっており、支配力が低下している。3年半前のクーデター後、武力革命によって国軍を政治から追放することで民政復帰を達成しようとする勢力の抵抗も続いている。 国軍は「自由で公正」とうたうが、実態は国軍系政党に勝たせるための選挙だ。民主派指導者アウンサンスーチー氏=収監中=が率いた国民民主連盟(NLD)は国軍主導の選挙から排除されている。調査と選挙の妨害のため、爆弾テロなどが多発する恐れがある。