「枯れない井戸」自由に使って 断水続く珠洲・寺家 専念寺住職、住民に開放
奥能登豪雨によって一部で断水が続く珠洲市三崎町寺家で7日までに、藩政期から「枯れない」と伝わる井戸が住民に開放された。 井戸があるのは真宗大谷派専念寺の敷地内。寺が保管する古文書「船手勧録(ふなてかんろく)」などによると、古くは北前船が寄港した際に「枯れない井戸」として重宝したと記されているという。 能登半島地震では船手勧録を保管していた本堂が倒壊し、津波が運んだがれきで井戸も埋まった。電動ポンプは海水をかぶり、止まった。 住職の畠山義邦(ぎほう)さん(75)はボランティアとともに4月ごろに修復に着手。奥能登豪雨で近所の住宅で断水が発生したことから、電動ポンプを新設するなどして住民も利用できるようにした。 畠山さんは「ボランティアの方のおかげで修復できた。飲用はできないが、歴史ある井戸が、水に困る今こそ役立てばうれしい」と話した。