67歳で夫が死亡。年金は結局「2年分」しか受け取れませんでした。これって保険料の「払い損」になりますか? 高齢でも「遺族年金」は出るのでしょうか?
一般的に65歳から年金の受給が開始されますが、開始から数年で受給者が亡くなってしまうと「保険料の払い損になってしまうのでは」と心配になる人は多いかもしれません。 しかし、年金の受給中に亡くなった場合、条件を満たすことで残された遺族に遺族年金が支給される可能性があります。本記事では、遺族年金の概要と実際の受給額についてモデルケースを交えて試算します。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
年金の受給中に亡くなった際に要件を満たせば遺族年金が支給される
年金を受給し始めてすぐに亡くなってしまうと、その後の年金受給の支払いが終了し、保険料の払い損になってしまうと思い込んでいる人もいるかもしれません。しかし、年金受給者が亡くなった際に要件を満たすことで次の遺族年金を受け取れます。 ・遺族基礎年金 ・遺族厚生年金 ・中高齢の寡婦加算 それぞれ順にみていきましょう。 ■遺族基礎年金 遺族基礎年金とは、国民年金に加入中の人や老齢基礎年金を受給中の人などが亡くなった際に、亡くなった人に生計を維持されていた18歳未満(または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級)の子どもがいる配偶者、または18歳未満(または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級)の子どもに支給される年金です。 遺族年金の受給額は一律で79万5000円(2023年度時点)となり、そこに子どもが1人増えるごとに年金が加算される仕組みです。 【遺族基礎年金の支給額】 ・基本額:79万5000円(2023年度) ・子ども1人目:22万8700円 ・子ども2人目:22万8700円 ・子ども3人目以降:各7万6200円 例えば、遺族が妻と子ども1人の場合は基本額として79万5000円、子ども1人目として22万8700円の総額102万円3700円が支給されます。 ■遺族厚生年金 遺族厚生年金とは、厚生年金に加入中の人や、老齢厚生年金を受給中の人などが亡くなった際に、亡くなった人に生計を維持されていた遺族に支給される年金です。遺族厚生年金に関しては配偶者に子どもがいない場合でも支給されます。ただし、子どものいない30歳未満の妻は5年間のみの有期年金になります。 遺族厚生年金の計算式は次のとおりです。 【遺族厚生年金の計算式】 (1)加入月数が300ヶ月未満の場合 平均標準報酬額×5.481/1000×300×3/4 (2)加入月数が300ヶ月以上の場合 平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数×3/4 また、老齢厚生年金を受給中の人が亡くなった場合、次のうちどちらか高い方の金額が支給されます。 ・亡くなった人の老齢厚生年金の3/4分の金額 ・「亡くなった人の老齢厚生年金額の1/2分の金額」と「配偶者の老齢厚生年金額の1/2分の金額」を合算した金額 ■中高齢寡婦加算 中高齢寡婦加算とは、夫が亡くなった当時、遺族基礎年金を受給しておらず、40歳以上65歳未満で生計を維持されていた妻に支給される年金です。 【支給要件】 ・亡くなった夫の厚生年金加入期間が20年以上 ・夫の死亡時に妻の年齢が40歳から65歳 ・遺族基礎年金の受給資格がない ・生計を同じくしている子どもがいない 受給額は、加算分の59万6300円と遺族基礎年金の4分の3に相当する金額になります。