古田新太さん(58)家族に対しての自分の役目と、いま役者としてやりたいこととは|STORY
無茶振りに、なんとかお応えしたい
いまや大劇場を連日大入りにする人気劇団として知られていますが、無茶なところは変わらないといいます。 「小屋(劇場)は随分大きくなったけど、予算は潤沢にあるわけじゃないですから。毎回ギリギリセーフなところで必死にやってるのに、いのうえさんと中島さんは相変わらず『この間できたんだから、やれるよ』というスタンスなんです(笑)。その無茶振りに、スタッフも含めてなんとかお応えするっていうのが、うちの劇団の味であり、強みでしょうね。解散もせずに劇団を40年以上やっているのは、たぶん、いのうえさんと中島さんが『まだできるはず』『まだやりたいこと、できてないことがたくさんあるよ』って、夢みたいなことを思っているから。スタッフもキャストも、それになんとかお応えしたいと思っているから、なかなか解散できないんじゃないかな(笑)。いちばん古い劇団員のオイラも、そう思ってますよ。まあ、アクションはもう勘弁してほしいですけどね。今回も稽古しながら、自分の殺陣を極力減らしていくつもりです(笑)」 今年3月には、“劇団☆新感線の看板俳優として約40年もの活躍を続け、外部の舞台や映画、テレビでも多様な役を演じている得難い俳優である”として、松尾芸能賞 優秀賞を受賞しました。 「嬉しかったですよ。オイラは、劇団でいのうえさんに『そこの動き、野口五郎で』みたいな演出をされ続け、自分なりの野口五郎をやってみたりするうちに、それが蜷川幸雄さんであろうが、野田秀樹さんであろうが、“演出家に『こんな風にやってみて』と言われたことをやって、演出家が笑ったら自分の勝ちだ”と思うようになった俳優。そうするのが俳優だと思って、ずっとやってきた人間が、こういう形で褒めてもらえたんですから(笑)」
家族に対する仕事は、一応終わったかなと
「家族に対する仕事は、一応もう全て終わったぞと思ってます。借金はないし、ローンもないし、娘も30歳。もしも、オイラが死んでも、家を売っ払えば、嫁さん一人ぐらいは暮らしていけるだろう、オイラの役目はもう終わったな、っていう。あとは、自分が好きな下ネタ下品ミュージカルを作り上げていくだけです(笑)。オイラが劇団を辞めないのは、それを作るためなんで。一緒に作ってくれそうな仲間はたくさんできましたけど、インチキな音楽にインチキな歌詞を乗っけて、カッコイイ踊りとアクションを見せる、しかも、動けて信頼できる若手をセンターに呼んで、自分たちはサブを務めるっていうような公演をやってるチームは、新感線のほかにないですから。やっぱり自分がやりたい下ネタ下品ミュージカルを作れるいちばんの場所は、ここなんだろうなと」 来年には還暦を迎えるという古田さん。最後に今後の展望を伺いました。 「行きつけの飲み屋に、飲み友達のおもろいオッサンたちがいるんですよ。ドラマ『不適切にもほどがある!』を見て、『あの程度で不適切だと言われたら、俺たちどうなっちゃうんだよ』って言ってるくらい、不適切な発言が得意なオッサンたちが(笑)。その中に、オイラよりも飲みまくっているのに、いまだに現役で介護の仕事をしてる68歳の先輩がいて、そういう先輩を見ていると、自分もまだ行けるんじゃないかなと思ったりします。なので、自分が『まだやれるな』と思っているうちは芝居を続けたいですね。斗真や倫也みたいな後輩に大変なところは任せながら(笑)。あとは、アニメソングでヒット曲を出したいかな。というか、Creepy Nutsになりたい(笑)。できれば世界で1位を取りたい(笑)」