新茶シーズン到来 静岡茶市場で初取引
2024年新茶期の幕開けを告げる静岡茶市場(静岡市葵区)の新茶初取引が12日、行われた。県内産一番茶の取扱数量は3月下旬の冷え込みが響いて50・8キロと過去最少となったが、関係者約800人が今年の出来栄えに強い関心を寄せた。4月下旬までに各地の茶園で摘採作業が盛期を迎え、八十八夜(5月1日)に向けて新茶商戦が本格化する。 午前7時に取引開始を知らせるベルが鳴ると、買い手の製茶問屋と売り手の生産者が、生葉を加工した荒茶の品質を確かめながら、そろばんを片手に価格交渉に臨んだ。取引が成立すると「パ、パ、パン」と手を3回たたく「手合わせ」の音が場内に響いた。 今年の初取引は昨年よりも1日前倒しし、市場開設以来最も早くなった。上場数量が少なかったのもあり、平均単価は前年比約11倍の7万7637円で過去最高となった。 茶市場の内野泰秀社長は「少しでも早く新茶の香りを全国に届けて消費を喚起し、活気ある新茶シーズンにつなげたい」と語った。 ■最高値は111万1111円 両河内産機械もみ茶 新茶初取引で最高値を付けたのは、静岡市清水区の両河内茶業会(望月秀樹会長)の機械もみの茶で、1キロ当たり111万1111円で取引された。やぶきたの最高級茶「高嶺の香(たかねのはな)」として知られる。望月会長(53)は「先輩らが受け継いできた高品質の茶栽培が、こうして評価されてうれしい」と声を弾ませた。 購入した和田長治商店(同市葵区)の和田夏樹社長(37)は「清水のお茶らしい素晴らしい外観と品質。生産者あっての茶商なので、手を携えて茶業界を盛り上げていきたい」と話した。 手もみ茶の最高値は富士宮産さえみどりの108万円だった。
静岡新聞社