鹿児島港本港区エリア・住吉町１５番街区へ移転が検討される鹿児島サンロイヤルホテル＝２日、鹿児島市与次郎１丁目

　鹿児島市の鹿児島サンロイヤルホテルが２日に表明した移転新築は、市が整備を目指す多機能複合型サッカースタジアムの議論にも波及しそうだ。中心市街地に近く面積の広い土地は限られ、市や県の関係者からは「跡地は新たな候補地になる可能性がある」との声も聞かれる。 【写真】〈関連〉移転新築の方針が発表された鹿児島サンロイヤルホテル（右）。周辺区画の大半は駐車場になっている

　ホテルを運営する鹿児島国際観光が所有する敷地は約１万９０００平方メートル。市がスタジアム単体に必要と示す広さは約３万平方メートルだが、ホテルを含む区画は約４万３０００平方メートルあり、大半が駐車場だ。近接する鴨池公園に編入すれば、国の補助金活用も期待できる。 　ただ、現時点で地権者との交渉はなされていない。 　市は２月、早期整備の必要性を理由にスタジアム候補地としていた鹿児島港本港区北ふ頭（県有地）の断念を表明。その後は県と連携して新たな候補地を選ぶとしているが、約半年が経過しても打ち出せずにいる。 　「サンロイヤルの跡地は、鹿児島市のスタジアムの候補地として話題に挙がっていた」。ホテルの将来像を検討する委員会メンバーは明かす。県幹部も可能性は否定しないものの、「課題をクリアする覚悟が市にあるか」と語る。 　市は第三セクター鹿児島国際観光の筆頭株主でもある。下鶴隆央市長は２日の南日本新聞の取材に、跡地利用は同社の経営判断とし、スタジアム候補地になるかは「県との協議になる」と述べるにとどめた。