「防御率0・00ありえない」 巨人ブルペン支える〝ナシさん〟の哲学
今季からブルペンを預かる内海哲也投手コーチも、学びを得た一人だ。延長十二回まで勝負がもつれた5月29日のソフトバンク戦。先発の堀田賢慎が六回に2死一、三塁とされ、打席に近藤健介を迎えた場面だった。救援に向かう大江竜聖に向けて言った、「(近藤の次打者の)栗原(陵矢)とニコイチで行けよ」という高梨の言葉にうならされたという。
かつての巨人の大エースも、救援経験は数えるほどしかない。「要は二人で1個アウト取れよ、と。近藤選手を絶対抑える、じゃなくて、カウントが悪くなったら次の栗原選手で勝負の気持ちでいい。これは先発しかやってない、僕みたいな人間からしたら分からない。そう考えるんだと勉強になりました。もう、『内海コーチ補佐』ですよ」と絶大な信頼を寄せている。
昨季リーグワーストの3・81だった救援防御率は、補強の成果も実り2点台半ばまで改善。その中心で腕を振る左腕は、口元に笑みを浮かべながら中継ぎの矜持(きょうじ)を口にする。
「流れの中でピンチを迎える先発の人は『ここでねじ伏せる』って感じになるけど、僕らってよーいドンでピンチから行くこともある。窮屈になるけど、その窮屈さの中でどうやって自由度を広げるかが大事。みんなで頑張っていきたいですね」(運動部 川峯千尋)