LINEによる自殺防止相談が若年層に効果、東京都の試験導入で
若年層の自殺防止が課題になっている東京都で、都が今年3月に自殺防止相談の手段としてLINEを試験導入したところ、30代以下の若年層の相談件数の割合が、電話による相談よりも多くなり、LINEが若年層の相談窓口として有効であることが分かった。
都における2016年度の自殺者のうち、30代以下の若年層が全国平均の26%を上回る28%を占めており、若年層の自殺防止が課題となっている。 都は、今年3月19日から31日にかけて、LINEによる自殺防止相談の窓口を設置。期間中、合計600件の相談があった。このうち10代以下の割合は29%、20代は26%、30代は19%と、30代以下の若年層の相談が74%を占めた。相談内容は、「自殺やうつ」に関する相談が約120件と最も多く、「家庭」「学校」がそれぞれ約40件と続いた。 都が開設している電話による自殺防止相談では、30代以下の若年層からの相談件数の割合は35%にとどまっている。都は「若年層が悩みを相談しやすい仕組みを検討した結果、若年層のコミュニケーション手段として浸透しているLINEを選んだので、狙いどおりだった。若年層にとっては、電話よりもLINEの方が相談の入口として入りやすいのだろう」と分析する。 今年度予算でもLINEによる自殺防止相談の実施に8000万円を計上しており、時期や期間を検討の上、相談を実施するとしている。 (取材・文:具志堅浩二)