【思考力チェック!】あなたと兄、どちらかの顔に泥がついている。父に「自分の顔に泥がついている人は手を挙げなさい」と言われるも、2人は手を挙げなかった。もう一度同じことを問われたあなたは、手を挙げるべきか?
「状況を冷静に俯瞰して、あなたは自分の顔に泥がついているかどうかがわかるか?」 これは知識や計算はいっさい不要で、「考える力」のみが問われる「論理的思考問題」のひとつ。論理的思考問題はGoogle、Apple、Microsoftといった超一流企業の採用試験でも出題され、「スティーブ・ジョブズ超えの天才」と言われたあのピーター・ティールも自社の採用試験に取り入れた。これまでの正解が通用しない時代に必要な「思考力」を鍛える「最高の知的トレーニング」でもある。 そんな論理的思考問題の傑作を世界中から収集し、解説した書籍が『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』だ。「論理的思考」「批判思考」「水平思考」「俯瞰思考」「多面的思考」が身につく67の問題を紹介。「頭のいい人の思考回路」がわかり、読むだけで、一生モノの武器となる「地頭力」が鍛えられると話題。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「視点を変えて考えられる人」だけが解ける問題を紹介する。(構成/石井一穂) 【この記事の画像を見る】 ● 視点を変えて考えられるか? 多面的思考とは、視点を変えて考えること。 その感覚をつかめる、最も簡単な問題から考えてみましょう。 「泥のついた2人」 あなたは、一緒に庭仕事をしていた兄と家に戻ってきた。 2人ともお互いの顔は見えるが自分の顔は見えない。 2人の顔を見た父親が、「少なくとも1人の顔に泥がついている」と教えてくれた。 そして父親は、2人を向かい合わせにしてこう言った。 「自分の顔に泥がついていたら手を挙げなさい」 しかしあなたも兄も、手を挙げなかった。 そこで父親はもう一度「自分の顔に泥がついていたら手を挙げなさい」と言った。 あなたはどうすべきだろうか? イラスト:ハザマチヒロ 次のページで、正解と考え方をお伝えします。
<正解> あなたは手を挙げるべき なぜあなたも兄も、最初は手を挙げなかったのでしょう。 そして最初の質問で答えられなかったのに、もう一度同じことを聞かれたところで、どうしろというのでしょうか。 考えられる状況はそれほど多くはありません。 兄の視点にも立って考えてみましょう。 ● 意外と単純な状況 手を挙げるべきかどうか判断するには、2人がおかれた状況を把握する必要があります。 ありうる状況は次の3つのパターンです。 ① あなたのみに泥がついている ② 兄のみに泥がついている ③ あなたと兄の両方に泥がついている どの状況におかれているのか、考えていきましょう。 ● 「どちらか」の顔にしか泥がついていないとき もし兄の顔に泥がついていないなら、あなたはこう考えるはずです。 「少なくとも1人は泥がついているはずなのに、兄の顔にはついていない。ということは泥がついているのは自分だ」 これは兄から見た場合も同じです。 もし、あなたの顔に泥がついていないなら、兄は即座に「泥がついているのは自分だ」とわかります。 つまり、どちらか片方だけに泥がついている場合は、泥がついている人は、すぐに「泥がついているのは自分だ」とわかるわけです。 しかし、2人とも1回目の問いかけでは答えられなかった。 よってこの状況は、 ③ あなたと兄の両方に泥がついている のパターンしかありえません。 兄の顔には泥がついているけれど、「自分の顔に泥がついているかどうか」はわからなかったため、あなたは手を挙げられなかったのです。 ● 兄はなぜ、手を挙げなかったのか こういった思考が、多面的な思考です。 状況がわかったため正解を導くことができますが、いったん整理しましょう。 兄が手を挙げなかった理由を、兄の視点もふまえて考えてみるとこうなります。 「もし私の顔に泥がついていないなら、兄は自分の顔に泥がついているとわかるはずなのに、兄は手を挙げなかった」 「ということは、私の顔にも泥がついていて、私と同じように答えを出せなかったということだ」 こうして、あなたの顔には泥がついているとわかりました。 ● 「思考」のまとめ 自分の視点だけにとらわれず、さまざまな角度から考えることが「多面的思考」の基本です。 「相手のこの行動は、相手の視点で考えると、こういう意味を持つ」。 この視点をズラす感覚が重要です。 ・多面的思考とは、視点を変えて考えること ・「この場合、相手はどう考えるか」と考えることが基本 (本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。) 野村裕之(のむら・ひろゆき) 都内上場企業のWebマーケター 論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者。ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1,500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。
野村裕之