自然災害の被害ゼロ祈願、八雲神社で県無形文化財の腰輪踊り【山口】
山口市陶地域の伝統芸能で県無形文化財の「腰輪踊り」が28日、陶郷上の八雲神社(入江宗徳宮司)で行われた。台風10号の接近のため、境内ではなく本殿で規模を縮小して開催。地域住民が見守る中、同踊り保存会(山本幹夫会長)の12人が風雨をはじめ自然災害の被害が無いようにと祈った。 毎年、8月28日に同神社で開かれる台風や洪水よけなどを祈願する風鎮祭で奉納される神事。室町時代に厄病や災難よけを祈願した念仏踊りに起源を持ち、子ども12人と大人3人が御幣をつるした竹の輪を腰に巻き付け、円を描いて踊る。少なくとも465年の歴史があると考えられ、大正時代に中止されていたが、1959年に再興し、今年65周年を迎えた。 入江宮司による神事に続いて、白装束に身を包んだ地域内の保育園年中~中学1年の子どもと山本会長(69)らが踊りを披露した。頭取を務める大人2人はニワトリをかたどった冠を被り、太鼓を胸にかけて演舞。山本会長(68)による親鉦(おやがね)と踊り子の子ども9人は、竜が描かれた被り物を付けて槌(つち)で鉦をたたいて踊った。 演舞の途中では頭取の2人が円の中心に入り、互いに足を蹴り出す「蹴合(けあい)」を披露。地域に見立てた円に入る厄をはらう意味合いが込められている。 踊りを終えると輪に付けられた御幣を家内安全などのお守りとして用いようと観客が次々と取った。 宮崎瑞稀君(陶小6年)は幼稚園年長から同会に所属。「いつもと違う形だったけど最後までやり切れた」と話した。 山本会長は「開催するか悩んだが、規模を縮小し、子どもたちが頑張って行うことができた。地域で受け継がれてきた踊りが、この台風だけでなく自然災害の被害を抑えることに少しでもつながれば」と話した。